内容説明
死者のためのミサ曲として生まれ、時代の死生観を鏡のように映しながら、魂の救済を祈り続けてきた音楽、レクィエム。中世ヨーロッパから現代日本まで、千年を超えるその歴史を初めて網羅した画期的名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
5
1999年底本。新刊棚より。死生観。世界史の宗教史の知識がないので、なかなか理解はし難い。固有名詞がまず、わからない。最後の第14章日本人とレクィエムはかろうじて理解できるか。鎮魂。メビウスの帯。これは、公務員試験一般知能で出てくる素材で知っていた。生涯は生命の光があたる帯のほんの一部(366頁)。死者は生者へと向かう。19世紀後半、死者のためのミサ、レクィエムは、宗教から離れて、死の意味を考える哲学的問題になっていったようだ。有限の人間のいのちを、どのように鎮めていくのか。3・11前の著作から洞察する。2013/07/01
汲平
3
「レクィエム」というタイトルの曲だけでなく、プロテスタントのJ.S.バッハのモテットが含まれているのはよいのだが、ベルクのヴァイオリン協奏曲やショスタコーヴィチの交響曲「死者の歌」も含まれているとなるとチャイコフスキーのピアノトリオは?とか思ったりもする。曲の解説は実際にCDを聴きながら読むと楽しい。意外とたくさんレクィエムのCD持ってることに気付いた。10回くらいなら死んでも大丈夫そうだ。2013/05/29
Takuo Iwamaru
2
「なかには従来のレクィエムとはまったく異なる内容に、タイトルだけ「レクィエム」とした曲が現れるのもこの頃からである。」(214頁)死者を悼む曲ならば単純にみなレクイエムだと思っていた。長い歴史の中で、キリスト教に基づいた確固たる形式が継承されてきたと今さら知った。19世紀頃から、その形式から自由になってきたという。だから「二十世紀後半には戦争の悲劇を主題としたレクィエムが数多く書かれた。それはレクィエムの歴史上かつてなかったこと」(277頁)のも、そう指摘されると頷くしかない。知らないことばかりで驚いた。2015/11/01
hobby no book
2
どちらかというと実際にレクィエムを楽曲として鑑賞する人向けだった。内容はタイトルどおりで、年代順に作曲者を追っていき、彼らの作品の構成なんかを紹介していくような形だった。最初の2章くらいまでは自分が期待していた内容に近かったのだけれど、それ以降は上述のような人物と曲の紹介になっているので、鑑賞の習慣がない身としては、けっこう難儀な内容だった。2013/09/03
たまこ(こなぎ)
1
随分時間がかかったけれど、なんとか最後まで。有名どころのでレクイエム以外も。グレゴリオ聖歌から始まって三善晃まで、網羅的。 音楽史を学んだこともないので、各々作曲家の時代や関係性も勉強になった。 この本をきっかけに聴いてみたレクイエムもあり、グヴィのレクイエム、デュリュフルのレクイエム、発見だった。2024/11/22