内容説明
医療は平等なり。近代医療の父の高潔な生涯
パリで神聖なる医学の精神を学んだ医師・高松凌雲は、帰国後、旧幕臣として箱館戦争に参加する。近代医療の父を描いた幕末歴史長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ポチ
60
敵味方関係なく負傷者を治療し、彼らを命をかけて守る。貧困者からは治療費を取らない。フランスの神の館での体験が凌雲の信念の根本にある。松本良順も良かったが高松凌雲もまた素晴らしい!2018/10/09
キムチ
49
医療ジャンル。中編程度なので読み易く、のめり込めた。構想の巧みさ、事実に添ったであろうと思われる描写と細部展開、ややもすると綺麗ごと?熱が走りすぎ?という事がない氏の作品は非常に好み。初めて知った凌雲、かつて読んだ良順と同時期(幕末の夜明け前?)時が持つ運命が己を押し流すことも耐え抜き胸が詰まる。蘭学でなく「西洋医学」しかも赤十字への渾身する姿が見えた。屯田兵入植以降の北海道の凄絶な時間は幾多の文学で読み齧ったとはいえ、幾度読んでも圧倒される。札幌の地を歩くと此処にかの人々が・・と感銘すら受ける。2020/09/08
たぬ
46
☆4.5 毎度のことながら吉村昭作品はずっしり来るなあ。生きるか死ぬかどころか生きるか殺されるかの状況下で敵味方の区別なく治療を施し、実兄だからと特別扱いはしない。高潔だなあ。医者の鑑だなあ。パリ博旅行では狡猾だった薩摩藩が箱館戦では人格者になっていたり、渋沢栄一の有能さや榎本武揚の大浮上人生なども読みごたえ◎。2022/02/01
り こ む ん
42
全ては、徳川慶喜から始まったと言ってよいのかも知れない。幕末の動揺激しいなか、彼を選び派遣した事から、彼の進むべき道を仄かに照らし出し、フランスでの「神の館」体験で道を照らす仄かな光が、一筋の明るい光となり伸びたのだろう。戦乱に揉まれながらも、医師としての姿勢、志を貫き通す姿は素晴らしい。松本良順でも貧しい人々の医療に心を痛めてはいたが、行動に起こし広く世の中に広めた凌雲の功績は大きいだろう。松本良順が日本医療の父だとしたら、高松凌雲は慈恵医療の父であろう。2017/10/17
活字の旅遊人
39
2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で知った高松凌雲を主人公にした小説。ドラマのシーンを幾つか思い出しながらの読書になった。吉村昭は史実をかなり細かく丁寧に盛り込んでくる作家だと思っているが、それでも作品として省くべきと判断したものはしっかり捨てていることに感銘を受ける。ドラマとの違いで一番思ったのは、渋沢喜作を箱館の場面も含め一切出さなかったところだ。そして解説にも梅毒の件で同じ指摘があり、納得。内容としては、高貴な精神の凌雲先生であるが、嫌味や有り得なさを感じることがほとんどなく、没頭できた。2022/07/23
-
- 電子書籍
- 拾ったのが本当に猫かは疑わしい3 アル…
-
- 電子書籍
- 拾ったものは大切にしましょう ~子狼に…
-
- 電子書籍
- 冷たい心は君限定で溶ける 第15話 届…
-
- 電子書籍
- 冷たい心は君限定で溶ける 第29話 な…
-
- DVD
- 柔道少年




