内容説明
医療は平等なり。近代医療の父の高潔な生涯
パリで神聖なる医学の精神を学んだ医師・高松凌雲は、帰国後、旧幕臣として箱館戦争に参加する。近代医療の父を描いた幕末歴史長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
80
日本赤十字思想の祖と言われた高松凌雲の波瀾の生涯を描いた作品。パリ万国博覧会に徳川昭武の随行医として渡欧した高松凌雲。パリの医学校兼病院「神の館」で西洋の臨床医学と博愛精神を学んだ彼は、箱館戦争に身を投じ、戦地の病院で、命がけで傷病者に当たった。又、官軍の高官の要請で、榎本武揚に降伏勧告に寄与した。明治維新後は、民間医療の普及に努め、同愛社を創設、まさに義と博愛に生きた主人公の生涯を感動的に描いた1冊。この本で知った凌雲、名前だけは知っていたが、こんな凄い人物だったとは、存在を教えてくれた吉村昭に感謝だ。2026/05/28
ポチ
61
敵味方関係なく負傷者を治療し、彼らを命をかけて守る。貧困者からは治療費を取らない。フランスの神の館での体験が凌雲の信念の根本にある。松本良順も良かったが高松凌雲もまた素晴らしい!2018/10/09
キムチ
51
医療ジャンル。中編程度なので読み易く、のめり込めた。構想の巧みさ、事実に添ったであろうと思われる描写と細部展開、ややもすると綺麗ごと?熱が走りすぎ?という事がない氏の作品は非常に好み。初めて知った凌雲、かつて読んだ良順と同時期(幕末の夜明け前?)時が持つ運命が己を押し流すことも耐え抜き胸が詰まる。蘭学でなく「西洋医学」しかも赤十字への渾身する姿が見えた。屯田兵入植以降の北海道の凄絶な時間は幾多の文学で読み齧ったとはいえ、幾度読んでも圧倒される。札幌の地を歩くと此処にかの人々が・・と感銘すら受ける。2020/09/08
金吾
49
◎高松凌雲の医師としての信念と矜持には感嘆しました。函館戦争の描写は真に迫るものがありました。また維新以降も人間としての凄さを感じるものであり、全編を通じ面白かったです。2026/04/13
たぬ
48
☆4.5 毎度のことながら吉村昭作品はずっしり来るなあ。生きるか死ぬかどころか生きるか殺されるかの状況下で敵味方の区別なく治療を施し、実兄だからと特別扱いはしない。高潔だなあ。医者の鑑だなあ。パリ博旅行では狡猾だった薩摩藩が箱館戦では人格者になっていたり、渋沢栄一の有能さや榎本武揚の大浮上人生なども読みごたえ◎。2022/02/01




