内容説明
「また出てきたんだよ、じいさんが」……このひとはふだんは老人養護施設におとなしく入居しているが、発作的にベッドを脱走して横浜の場外馬券売り場で有金をはたく。勝てば野毛の飲食街でえんえんと飲み続ける。すっからかんになったところで箱根のK・Hさん宅に転げ込む。(「徘徊老人の夏」より)ありふれた日常から別世界へと誘う、諧謔と機知にあふれたエッセイの数々。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
39
著者の名前は色々なところで目にしたが、初読み。適度に風刺も効かせた短編エッセイ集。良かった。2018/06/04
るすみら
7
ドイツ文学者、種村季弘(たねむら すえひろ)の徒然なるエッセイ集。インテリ爺さんの鼻につく話になってしまいそう…でならない、もしくは鼻につく部分ごと楽しめる一冊でした。1997年単行本初出で、ホンのちょっとだけ古い感覚が漂ってるのも良い感じ。かび臭く暗い、優しい死のにおいのする蔵の中で、由来不明の手帳を拾い、家に帰って読んでみたら、たまたまちょっと面白いことが書いてあった、というような感触の本。ちょっとした時間の隙間を、こういうお話で満たすのも悪くないかなあ、と思うのです。文庫版の解説は石田 千。2009/10/10
青味泥シンカ
3
しみじみと面白い。他愛もない日常の光景(とは言え刊行年を鑑みれば、それさえも遠い異国のようではある)から、多岐に渡る文学的知識を経て、思いも寄らない結論へと辿り着くのだけれど、そこに嫌味や力みが感じられないというのがまた凄まじい。特に、令和の世を先取りするかのような巷の考察が光る「コイン空間ベイビーズ」、駄菓子屋からキオスク、プリクラ的な小空間への嗜好を胎内回帰で紐付ける「プリクラ」のエッセイが素晴らしかった。2024/06/14
eirianda
1
なんてことない身辺雑記にみえるが〝浅い手前のコイン空間〟や〝死なない程度の貧乏はテレビ等の情報を遮断すれば飢餓感をかきたてられない〟など、成る程な〜と思う話があり、加えて戦中戦後の昭和を生きた人の香りがどの話にもプンプンするのであります。こういうのをエスプリって言うのかなあ。2013/06/14
マキオカ
1
【★★★☆☆】種村さんが出会った変人や珍しい出来事、過去の思い出話などを書いたエッセイ集。一編が短くて読みやすいので通勤電車やちょっとした空き時間、寝る前に読むのに最適。いい本です、これ。2009/07/12
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