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内容説明
もと歌の書き換え=「本歌取り」、自作に手を入れ続ける作家たち……推敲というミクロ場面から翻案の長い連鎖まで「書き換え」の諸相に目を凝らし、読み手を書き手に変える文学の力を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
40
古典文学や外国文学の翻案(リメイク)、作家自身による推敲(リライト)など、さまざまな「書き換え」の実例を示して分析を試みた書。例えば、中国の「剪燈新話」に収められた「牡丹燈記」を翻案した三遊亭円朝「怪談牡丹燈籠」、さらにそれをリメイクした五代目尾上菊五郎の歌舞伎、小泉八雲「宿世の恋」、魔夜峰央や波津彬子のコミック「牡丹燈籠」、唐十郎「青春牡丹燈籠」など、枚挙にいとまがない。文学作品は書き換えを促す何らかの「力」、自ら生まれ変わろうとする「力」を内在しているとすれば、文学作品は生きていると言ってもよい。2017/05/18
霧凛
3
様々な「書き換え」についての新書。前半はただ異なりを列挙するだけのようで分かりにくいし退屈したが、後半は「書き換え」の意図などにも言及していて興味深かった。前半部分は図を使うなりでもっと分かりやすく面白くできたのではないか?と少し残念ではあるが、全体としては文学研究の視点を増やせた気がするので読んでよかった。2017/06/30
むつみ
0
歌詞の書き換え等、「時局によって」が大きいが、その背景にあるものを考えねばならない、との指摘。心に銘ずる。2016/07/28
oooともろー
0
「リメイク」の定義がかなり広範囲。できれば『舞姫』にも触れて欲しかった。2016/05/24
むむむ
0
芥川が古典から着想をして書いていたのは周知のことであるが、それに限らず、さまざまな書き替えがなされたことがよくわかる。そもそも、羅生門でも初稿から変遷をしており、それを対照するのも面白い。 思えば、和歌においても本歌取りがあり、昔から以前の作品を念頭に置いた表現があったことがわかる。銀河鉄道の夜にしても、原稿を見ると推敲のあとが見てとれる。時代を経ずに変化する作品を見るのも楽しいだろう。 今回、最も驚いたのは歌詞の変化である。春の小川の歌詞は「さらさら行くよ」だとばかり思っていたが、そうではなかったのだ…2019/09/12