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内容説明
安倍政権とも密接な関係をもち、憲法改正などを掲げて政治運動を展開する、日本最大の草の根右派組織「日本会議」。虚実入り混じって伝えられる、その正体とは。 関係者の証言を軸に、その成り立ちと足跡、活動の現状、今後の行方を余すことなく描く。 反骨のジャーナリストがその実像を炙り出す、決定版ルポルタージュ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
142
私も基本的には、保守的な方に入るのですがこのような秘密的な会議や安倍政権の行き方には若干疑問を持っているものです。この本を読むと昔から言われている生長の家や、中国思想の喧伝者である(政治家がこぞって読んでいる)安岡正篤の思想とあまり変わらないということがわかります。私も昔から安岡の本はほとんど読んでいますが、この会議の人びとは自分たちに都合のいいようにどうも歪曲しているのではないかと思われます。その実体がよくわかります。2016/12/01
ベイス
84
日本会議とは何か。この本で明らかにされるのは、その中心にある思想が復古主義的なカルト宗教だということである。「すべての宗教は天皇より発するなり。神から首脳者と定められたる日本皇室が世界を統一しなければならない」。この「生長の家」にルーツをもつ熱狂的な信者が戦後、強靭な宗教心に突き動かされて戦前の価値観へと巻き戻す活動を続けてきた。これに賛同する者の集まりが「日本会議」である。この組織に多くの政治家、知識人らが集う現実は、やはり異常と思わなければならない。偏狭な世界観はプーチンを彷彿とさせるではないか。2022/03/29
奥澤啓
54
日本会議の概略を知るにはこの一冊。一点だけ付け加える。自民党は民主党政権時代、党是である自主憲法制定を断念しかけた。そこに安倍晋三、故中川昭一ら約十名の日本会議系若手議員が名乗りをあげ、安倍晋三を安保法案と憲法改正の先導役として祭りあげ、第二次安倍政権が誕生した。それから前のめりの姿勢で違憲の安保法案をゴリ押しで成立させ、改憲の発議が可能になっているのが現状である。日本会議と安倍政権の共同歩調は邁進中なのである。青木氏はあまりにも復古的な日本会議の主張には批判的であり、民主主義の危機を憂いている。 2016/07/27
rico
47
彼らが何故そこまで「戦後民主主義」を憎むのか、目指す先に何があるのか、さっぱりわからなかったけど、なるほど、「信仰」なんだ。理屈じゃない。彼らの運動は布教活動なんだね。であればなおさら、政権内で「信者」が圧倒的多数を占める現在の状況って、相当まずい気がするのだけど。初詣は神社やめて、お寺にしようかなあ…2017/05/22
奥澤啓
45
青木氏は日本会議の運動を支える人たちのしつこさを強調する。抜きがたいカルト性を感じざるをえないと言う。関係者への取材はほとんど拒否。「日本会議国会議員懇談会」という名称通り、議員という「究極の公人」による組織と関連しているにもかかわらず、取材を受けないことの理不尽さと秘密主義を批判する。日本会議系の組織、あるいは類似した主張の政治団体、修養団体は無数にあり全体像は把握しがたい。関わる人の思い入れも温度差があろう。しかし中枢を為す成長の家出身者の谷口雅春個人崇拝は強烈であり、強い靭帯で結ばれているようだ。2016/08/24