- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
炭管疑獄事件で法務政務次官を辞任した角栄は、その時すでに党内の地歩を固めていた。やがて池田勇人を大蔵大臣に推し、再び政界の中枢へと昇りつめてゆく。カネと女、権力を高らかに肯定し、高度成長を演出した情念の宰相の人間力、その権謀術数。小泉政権が打ち倒そうとする巨大な幻影の源とは何か?戦後最大の栄光と汚辱を描いた一大叙事詩。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
39
確かビートたけし主演で映画化かドラマ化の予定があったらしいのだが、田中真紀子の反対で頓挫したと聞く。こういうところは日本の芸能は遅れていると思う。アメリカではフェイスブックの創設者が映画化されたりしているというのに。この本が出版されて9年がたった今では、全く違う政治が展開しそうな気配なので、時代の流れを思うと、角栄氏を惜しむ猶予は今は無いように思えてくる。2011/12/02
まつうら
28
(上巻の続き)角栄の政治家人生の転機は、ロッキード事件と思われているが、文春砲に金脈を暴かれたのがきっかけだったことは初めて知った。国内のメディアがこぞって政治とカネの問題を取り上げるようになったのは、この記事がはじまりで、最初にやり玉にあげられてしまったのが角栄というわけだ。それと、首相退任後のロッキード事件は、アメリカの陰謀だとしか思えなかった。有罪判決を受けて破れかぶれになり、昼間からオールドパーを煽る様子を想像すると、角栄の悔しさが伝わってきて口許がゆがんでしまう。とても無念だ。。。2022/01/06
ライアン
19
大蔵大臣就任時の幹部へのスピーチがいいよね。人心掌握術は素晴らしい。首相退任時の番記者とのやり取りが泣かせる…。コンピュータ付きブルトーザーと言われたけど意外と気が弱かったり気を使うところは親しみが持てる。金権のイメージが強過ぎて誤解されてるのは残念だ。出る杭は打たれまくったという感が。2016/11/13
RED FOX
17
「長期予報が外れても先生方は死なねえが、カマキリやカエルが見込違いをすれば死んじまうからねえ」角栄は、老いた工手たちの生活の知恵に感じ入った…スノッブの嫌がる無理難題を庶民の視線で解決させる角栄がカッコいい。日本では「出る杭」なんでしょうが。2019/08/14
げんまん
10
強引な手法も見せるが、人心掌握に長け、周囲の心を掴んで、総理の座に登り詰める。そんな彼も「総理大臣というのは俺にはきつかった」と弱音を吐くまでに追い詰められてゆく。ロッキード事件には陰謀説などあり、真実はわからないが、最晩年は残念な結果になってしまう。金権政治や闇将軍などのイメージがあるが、高度経済成長期の時代に必要とされた人物であったに違いない。2019/04/06