母の母、その彼方に

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母の母、その彼方に

  • 著者名:四方田犬彦【著】
  • 価格 ¥1,672(本体¥1,520)
  • 新潮社(2016/08発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784103671084

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内容説明

四方田柳子という見覚えのない名前をきっかけに始まった過去の探索。しだいに明らかになるさまざまな事実。女子大時代に学んだ理想主義的な児童教育に心血を注いだ柳子。広大な屋敷を管理することに情熱を捧げた美恵。日本舞踊と西洋音楽を同時に学び、生涯にわたって労働とは無縁だった昌子。著者が発掘した一家の歴史。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

koji

6
この本は、四方田犬彦のファミリーヒストリーの体裁をとります。犬彦の祖父保の立身出世の中で、先妻柳子の幼児教育への執着ぶり、後妻美恵の家屋敷を守る女主人ぶり、犬彦の母昌子の天真爛漫ぶりが鮮やかに描き出されています。その語り手は、一介の市井人となった孫です。ただ主題はもっと深い所にあります。明治から終戦までの77年、一気に文明国家の仲間入りした近代日本が生み出したブルジョワジー階級は瓦解します。ブルジョワは近代の徒花だったのか。この答えには、日本の精神性をもっと深く掘り下げなければなりません。重い書物でした。2016/08/04

2
学会でイタリアを訪れていた筆者に、大正期の記録に「四方田柳子」という筆者と同郷の人が度々出てくるが知らないか、とのメールが届く。 全く心当たりの無かった筆者だが、それが自分には語られることのなかった祖父の先妻であったことに驚き、「一代にして財産と社会的地位を築き上げた」父をとりまく二人の祖母と自分の母の物語を追っていく。 最近、ふとしたきっかけから、自分の知らなかった「ファミリー ヒストリー」を探す本を幾つか読みましたが、中でも興味深く読めました。2016/08/26

鬼山とんぼ

2
著者は私より5歳上の多彩な分野に通暁する映画評論家として知っていた。分厚い中国系映画の評論集である「電影風雲」を買って読んだのはもう12年前のことか。意外なきっかけで、後妻に入った祖母の前妻の足跡を辿ることに始まり、祖母、母と甘酸っぱくてほろ苦いファミリーヒストリーが展開される。読み進むうちにそのルーツが著者の知識や人格形成に大きく与ってきたのだと納得させられる。みんなそれなりに頑張って生きてきたんだよね。読後感のよい佳作でした。2016/04/23

nonicchi

1
四方田家のファミリーヒストリー。非常に興味深く読めました。祖父は学歴によって出身階級を離脱、階級上昇を果たし、一代で名声と財を築いた明治人の典型。その最初の妻は、女子大時代に学んだ幼児教育に心血を注ぎ、作者の祖母である後妻も、広大な箕面の屋敷の女主人となり采配を振るう。しかし近代日本社会における新興ブルジョアジーというものはぜい弱で、三代目にはもはやその階級の外に。いろいろ感慨深かった。2016/04/14

hiratax

0
四方田犬彦の書き物の根底にあるものは「自慢」である。本書も華麗なる四方田一族について触れられている。この人は、なんでもネタにしてしまうな。2016/04/18

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