内容説明
SFを中心に、翻訳商売三十年。その実践的な翻訳技術からSF業界の裏話までを軽妙に披露する名エッセイ集。岸本佐知子・豊崎由美との鼎談、恩田陸との語り下ろし対談ほかを新規に収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
41
89年のSFマガジンの「ポスト・フェミニズムSF特集」で、監修者の小谷氏から、電話で直々に、コニー・ウィリス「わが愛しき娘たちよ」の翻訳を頼まれた件が載っているが。この作品の評価について、巽先生夫妻をおちょくって大喧嘩をして、以降はずっと大絶縁ということです。それまでは仲良しだったのに…。今読むと、何もかにもが懐かしい。2015/06/14
緋莢
18
2012年刊行、元の単行本は2006年刊行。収録されている主なものは1989年から1995年にかけて『SFマガジン』に掲載された文章なので、シドニィ・シェルダンの“超訳”などの話題が出てきますが、全体的にはそこまで古さを感じませんでした。小説の翻訳に関しては一字一句正確に訳すのではなく、「読まれてナンボ」、「読者サービスを心がける必要があるが、その作品の雰囲気にあったサービスでなければいけない」というのは、そうだよな~と(続く2020/12/18
けいちゃっぷ
12
本籍地はSF、生業は翻訳業である大森望の生業に関するエッセイ。 書かれた時期はいささか古いのが多いですが、弁も筆も達者な人ゆえホイホイと読ませます。 翻訳者がいなければ一行たりと海外のSFもミステリも読めない私だが、「この変な日本語は原書が悪いのか翻訳が悪いのか」とか「平気の平左ってなんだよ、どんな原文だよ」とかの文句はこれからは決して言いません思いません。 だって、労ばかり多くて好きでなければやってられないもんねえ。 332ページ 2012/11/01
はちくま
8
勝手に、大森望さんの自伝というか半生記かと思い込んでたのだけど、若かりし頃に書かれたものを中心としたエッセイ集でした。仲間うちや先輩たちの裏話が楽しい。朝倉さんや大森さんや山岸さんのような方がおられるので、私が日本語でヴォネガットとかイーガンとか読めるんですよね。感謝感謝です。2015/07/19
小紫
7
文芸翻訳のスゴさと翻訳者根性というかをしっかり心に刻みました!単語としてはシンプルなものが並んでいる英文が、日本語になってその登場人物のセリフらしく変換されると、あんなにも荘重な喋り方になるのか、と目から鱗です。先達の翻訳者にはこういう人もいたのか、とか現在の同期の翻訳者さんとの対談等も、読んでいて勉強になりました。あまりSFにはこれまで興味がなかったのですが、こんな風に工夫を凝らして、訳者が心血を注いでいると知った以上、何か読んでみたいものだ、とワクワクしました。2018/12/30
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