中公新書<br> 日本陸軍とモンゴル 興安軍官学校の知られざる戦い

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中公新書
日本陸軍とモンゴル 興安軍官学校の知られざる戦い

  • 著者名:楊海英【著】
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 中央公論新社(2016/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121023483

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内容説明

一九三〇年代に満洲の地で、日本陸軍が関与し、モンゴル人へ軍事教育を施す目的で作られた興安軍官学校。日本の野心と中国からの独立を目論むモンゴルの戦略が交錯する中から生まれた場所だ。本書は軍事力により民族自決をめざすモンゴル人ジョンジョールジャブや徳王らの活動、軍官学校生らが直面したノモンハン戦争から敗戦にいたる満蒙の動向などを描く。帝国日本に支援され、モンゴル草原を疾駆した人びとの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

yamatoshiuruhashi

28
表題に「日本陸軍」とあるが、これは紛れもなくモンゴル人から見たモンゴルの近代史である。「日本陸軍のお陰で独立運動が進んだ」と解して読めば大きくつまずく。日本は決して独立を認めなかった。「偽国(満州国)を倒してモンゴル人を解放した」とみる中国の視点では大きく乖離する。満州の2/3を占めるモンゴルは決して中国ではない。事実は中国がモンゴルを支配下に置いただけだ。チンギス・ハンの大帝国以降、少数民族となったモンゴルが独立を取り戻すために「軍人民族青年」がいかに大切だったかを教えてくれる。目から鱗の一冊であった。2017/12/11

Tomoichi

21
出来るだけ気分が落ちる日華事変以降の戦争ものは避けてきたが、タイトルに惹かれて購入。先ずは著者のスタンスに好意を持った。国際関係である以上、正義やモラルだけで歴史は裁けない。お互い様なのだ。しかし南北モンゴルの近現代史に我が国が関わり、そしてそれが現在に繋がる支那の南蒙古支配に結果的にしろ加担してしまった事実には目を向ける必要がある。いつか南北蒙古が統一される事を望まずにいられない。2025/11/15

活字の旅遊人

14
期待させていたんだよなあ。

さえきかずひこ

13
非常に興味深く読んだ。20世紀において、漢民族と日本の間でつねに苦汁を味わわされ翻弄されたモンゴル人たちの近代化の過程をジャンジョールジャブという一人の日本軍人・モンゴル軍人の生涯を通し豊富な資料を用いて描き出す傑作。日中という大国のナショナリズム、そして戦後のヤルタ協定によりモンゴル人の民族自決は挫折させられた。マクロな領域、つまり国と国の問題、民族と民族の問題は今も昔も込み入っていて実に厄介だ。しかし、ミクロな領域、つまり日本人とモンゴル人同士の間には愛も憎しみもあったことが活写されており素晴らしい。2020/10/01

筑紫の國造

9
今までなかった、新しい視点の近代史。モンゴルと言えば、チンギス・ハーンが思い浮かぶが、近代史の上で日本との関わりも無視できない。長い間の中国の影響を振り払うべく日本を選んだモンゴルの道のりは、その後も楽ではなかった。日本の国策に翻弄されながらも、ジョンジョールジャップ達は民族自決を目指して苦闘する。時に、それは冷酷とも言える決断にもなって現れる。日本がモンゴルに与えた待遇は決して寛大とは言えなかったが、彼らの中に脈打つ帝国陸軍の精神は、日蒙の強い絆の証であることは間違いない。2018/12/23

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