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内容説明
そこは性が3つある世界──キズナが立ち向かう現実とは…？ サード…それは男と女ともう一つ、三番目の性。性別確定診断でサードと認定されたキズナは、友人の自殺を受け入れられないまま、「女」のシノと「男」のトーゴの3人で付き合い始めることに。だが三者三様の思惑をはらんだまま、交際はいびつな方向に歪んでいく…。心の闇を抱きながら愛に飢える「女」のシノ。肉欲に溺れ囚われていく「男」のトーゴ。自分の気持ちも性もあやふやな「サード」のキズナ。危険な三角関係の中、ありえないはずの自然妊娠をキズナがしてしまう！ 渦中の人となったキズナの騒動はまた別の騒動を生み…!?性をめぐって複雑に絡み合う愛憎と私欲…。 坂井恵理が贈る、「性」「ジェンダー」の在り方を万人に問う衝撃作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナコち
7
一巻で収めるのは惜しい。もっと世界観や心情も掘り下げて欲しかった。情報量が多く、詰め込み過ぎで後半は駆け足気味。物語は、男と女そして、サードと呼ばれる第三の「性」が容認された世界。三人で付き合い、三人で家族になる。三角関係を公的に生み出す。それが、常識。思春期を迎える頃、少女はサードかそうでないかを決定付けられる。私はふと思う。枠組みがあっても一時的な安定剤で、完全に不安を取り除く事は出来ない。それぞれが自分の「性」を誇りに思い、相手の「性」を尊重し合えれば、苦悩は減らせられる。読解力不足が否めないなあ。2014/12/10
でんか
5
う～ん???なんか設定の気になるところがありすぎてアカンかった。「サード」と「女性」の設定が、なんじゃそりゃーって感じです。「サード」は卵巣が機能してないのに、どうして生理が起こるのさー！生理起こすためには子宮さえあればいいわけじゃないよう。性ホルモンどうすんのさ。この世界における「女性」は現実の人体だとロキタンスキー症候群のひとってことでいいの?SFなので、割り切って読めという話かもしれないけど、現実の人体をまるっと無視した設定にするんだったら「女」という設定をはずしてオメガバース的世界にしてけろ。2017/11/21
せいや
5
★★★☆☆ 人間が、「男」と、子宮が退化した「女」、卵巣が退化した「サード」の三つの性に分かれた世界――。恋愛も結婚も3人で行うのが「普通」という世界観が面白かった。2016/09/20
tamanya7
3
第三の性、という発想がユニーク。何処に落ち着くのかなと追っていたが、意外なところで落ち着いた。休刊にならなかったら、もっと違っていたのかな。2015/01/12
エピクト
3
この作者のＳＦ作品は非常に面白い。性が三つあるアイディアはアシモフ等にあるが、この作者の目的はそれによる異化を描くんじゃなくて、この設定を使って現代の制度としてのジェンダーの異常性を暴き出すことにあるようだ。この作品の家族制度と現代社会の「男女のカップルが正解な状況」の等価さを思えばこの物語のテーマの重さもわかるし作者の意図はあたっているように私には思える。が、やはり一冊は短すぎるうらみはある。作品としては完結しているが、次作以降でのテーマのいっそうの深化を期待したい。2014/12/28
