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内容説明
松田奈緒子が贈るおんなの天国と地獄。 木綿のような、強く匂う華のような、夢二の美人画のような、炎のような、堕ちてもくさらないおんなたちの人生。 雪月花───明治時代、裕福な家庭に育った質素で学問好きな姉・光子(みつこ)と、派手で男に愛される妹・喜久子(きくこ)。正反対の姉妹は、お互いの出生の秘密を知り…。 大門パラダイス───大正8年。吉原(よしわら)遊郭に売られ初見世(はつみせ)を迎えた「紅(くれない)」こと、りん。人生を儚むりんに、ある御仁が言葉を授けた。「仕事を蔑んでも自分を蔑んじゃいけない」心から勤めることに徹したりんは、強く美しい花魁(おいらん)へと成長してゆく。「雪月花/大門パラダイス」に加え、極上に切ない掌編漫画を描き下ろし!装丁も新たに、新装版の登場です!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
及川まゆみ
13
再読。独特なタッチで描く松田奈緒子はデビュー当時から気になる存在でした。こういう話も書くんですね。二篇収録されてますが気になるのは「大門パラダイス」。なんでパラダイスなのか。「洲崎パラダイス」へのオマージュか、とか数々の遊女ものの何が創作のヒントになってるのだろうかとついつい考えてしまうが、それも一興。りんと妙の対比がとても面白かったですね。また二篇とも展開が早いです。もう少し余韻があってもいいけど…とは勝手な願いか。すみません。2017/03/11
しましまこ
11
読んでてキツイけど沁みるなぁ。2015/07/25
チョビ
8
長編が2話どちらも多かれ少なかれ「遊女」が関わる。江戸時代に比べて「商品価値」の下がっていることがよく分かる描写が哀れを感じるが、「自分のことしか考えていない人は運を呼ばない、誰かのことを考えて生きている人は運を呼ぶ」というテーマは至極時代を選ばないもの。最後に出てきた(恐らく)宗教に殉じた女の言葉は、人によって受け取り方は変わると思う。上っ面で読むとしっぺ返しくらいそうで、感想書くことすら、キツイ。 なお、「向上心の過剰さに痺れて堕落した男」がいたが、現代人に一番近い人間に思えた。2016/10/06
さゆき
8
絵柄はどちらかというと好きではなかったですが、面白く良い作品でした。明治・大正という、近代化に向かいつつも女性がまだまだ地位が低かった時代、流されながらも懸命に力強く生きた女性たちのそれぞれの人生が描かれています。この時代、美人に生まれたから幸せとは言えなかったり…。なかなか考えさせられる2作品でした。2016/04/26
ぴっちゃん
6
近代日本女性史の暗い一片を切り取ったような。「雪月花」…名門で富豪の貴道家の姉妹。母亡きのちも何不自由なく育てられていたが、父が事業の失敗から自殺し、意外な事実が判明。姉妹の対極のような生き方を描く。「大門パラダイス」…大正時代の吉原。同じころ売られた4人の少女。・・・やさしい士族の娘・妙の哀しい運命。誰にも顧みられなかった野生児のようなりんの鮮やかな成長と凛とした生き方。ばくちにとらわれた父がどんどん借金を増やしていくトラ。花魁にならずに下働きになったカネヨは「みにくく生まれてよかった」と言う・・・2016/06/14