内容説明
カリブの海賊も慄くスペクタクル冒険小説!
柚木静一郎は、四十年近い船員生活の掉尾を飾る航海に出ていた。船長として乗り込んだのは、船齢二十四年の不定期貨物船パシフィック・ローズ。パシフィックローズは生ゴム一万二千トンを積んでスマトラ島中部のドゥマイ港を離岸した。目的地は横浜。そこが柚木の船乗りとして最後の寄港地となる。パシフィックローズは、娘の夏美を初めて乗せた船でもあった。
パシフィックローズはマラッカ・シンガポール海峡を航海中、ビンタン島沖合で船火事に遭遇する。要請を受けて救難に向かった柚木たちを待っていたのは、手痛い裏切りだった。パシフィックローズは、アララトと名乗る男が率いる集団にハイジャックされてしまう。船を乗っ取ったアララトは、北へ向かうよう指示する。彼らの目的は、積荷は身代金ではなかった。パシフィックローズは、世界規模のテロに巻き込まれようとしていた。
太平洋、ロシア、アメリカ、アルメニア……世界中を舞台に究極の生物兵器をめぐる攻防戦が始まる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
67
笹本さんの冒険小説は初めてです。太平洋を航行する貨物船「パシフィックローズ」が海賊に襲われる。一方時を同じくして起こった旧ソ連の細菌兵器の盗難事件。二つの事件に関係はあるのか?海賊がパシフィックローズを襲った本当の目的とは。日本、ロシア、アメリカ、そして世界を航行する豪華客船での出来事も交差しながらストーリーは進む。ハラハラ、ドキドキ。いったいこの先どうなるのか?こいつは久々に当たりの予感。すかさず後半に突入です。楽しみ楽しみ。2014/05/30
s-kozy
57
読友さんからの借り本。いやぁ、傑作ですね、ありがとうございます。ハイジャックされた貨物船の海洋冒険小説としても楽しめるし、ロシアパートでは恐怖の生物兵器が盗まれてしまう。さらにさらにソ連からアメリカに亡命した大物医学者の豪華客船クルーズが地中海に差し掛かり、アルメニア人テロリストとCIAも交錯する。どうなっちゃうの?とワクワクさせてもらいながらジャックされた貨物船の船長とオフィサー達の海の男の勇気と矜持を見せつけられながら下巻へ、大いに期待が持てます。また、父と娘の物語もありますよ〜、スゲエ。2014/12/18
忽那惟次郎8世
19
壮大なスケール、友人から勧められた 刊行されたのは2003年 読んでいる2020年だが ちょうどモーリシャス沖座礁事件 重油流出事故やCOVID19 新型コロナウイルス 騒ぎが起きている最中 この小説を読んでいてまさにタイムリーだと思った。船舶の航行の難しさ ロカン島への接岸のシーン、ロシアのウイルス兵器のところ 本当に小説の内容がリアルに伝わってくるそれから COVID19だって もしかしたら中国またはアメリカの兵器だったのでは と、この小説を読んで非常にその疑いが濃くなってしまった。下巻が楽しみ 2020/09/24
Masaru
13
史実や人間関係の描写が若干くどいが、全体的に面白かった。海で生きるしか能のない主人公「柚月静一郎/キャプテン」がカッコ良すぎます。下巻にも期待!2014/11/09
スポポ菊池
12
これは冗談抜きに十年に一度の傑作だった。久しぶりに物凄くずっしりくる作品を読んだという深い満足がある。上下巻の長さを感じさせないストーリー展開もさることながら、作者が「海に生きる人々」の勇気や仁義に対して最大級の敬意を払って書いているのが伝わってくる。敵であるテロリストが、知られざるディアスポラの民・アルメニア人であるのもよい。唯一、作品のタイトルは地味だと思うが、それでもこの作品の価値は何ら毀損されないだろう。これはイチオシ。やたら仰々しい帯のアオリ文句は嘘をついてない。見つけたら買え。2014/03/19