内容説明
年老いた母を種付け馬・花雲の背中に乗せ、嘘を封じる百カ所まいりに出た若者。馬の名産地・桜七牧で、真実を述べたばかりに八十八回叩かれた腹いせに、同じ数の嘘をつき生きることを決意、自ら八十八と名乗る。悪代官に野盗の頭目、一癖も二癖もある相手に、嘘つきの天才八十八が言葉巧みに勝負を仕掛ける。恋あり、オゲレツあり、爆笑必至、痛快な男の出世物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
21
嘘という語りの面白さ、言葉の序列がオカシイ代官や言葉の区切りのオカシイ藩主との掛け合いの面白さ、加えて主人公に馬語まで操らせるといったところは、井上さんらしいユーモラスな味わい。 久々に井上ひさし作品の面白さをたっぷり堪能したという気分です。2016/05/13
みゆき・K
17
奇想天外。型破りな物語。よくもまあこんな物語を書けるものだ。著者の真骨頂。嘘つきを封じるために老母を連れて百ヶ所参りに出た若者。相棒の種付け馬“花雲〟を盗まれたのでお代官の元へ。代官の容姿を問われ、真実を述べたために八十八回叩きの刑を受ける。これを機に自らを八十ハと名乗り、彼らに復讐を誓う。その手段は嘘だと言うから面白くないはずない。滲むペーソスとユーモアと農民への愛。願わくば八十八には天下を取って欲しかった。いや彼は天下を取ったはず。これぞ読書の醍醐味!愉快痛快悲哀。2024/06/12
じょうこ
11
われらが主人公、八十八(やそはち)は若者で、馬語を喋り、女馬にまで惚れられる機転がきいて色気のある男。全10編から成る冒険譚。虚構を作り上げ、機転をきかせ、危機一髪、ピンチをハッピーにくぐり抜ける。小判もザクザク増えていく。そして読んだ後に競馬場のパドックへ行くと、馬語が聴こえてくるようになりますよ!先週の弥生賞では、ジュタ(寿太)が最も喋りたそう(ちょっと、聴いてくれよーと)で、馬券を買ってあげました‥。とまれ、解説者のいう「馬文学の世界に冠たる傑作」に1万票入れたい!2025/03/16
poderosa2
9
半年ぶりぐらいに現世に戻って復活した読書の一冊。「達人」。本書を読んだ後に思い浮かんだ言葉はこの一言に尽きる。兎に角、巧い。面白い。伏線の張り方から回収まで、そしてノリに乗ってるようなリズム感。読んでいて間違いないというのがヒシヒシと伝わりました。 映画監督で例えるならウッディアレンのような安定感。そして読書は贅沢だ。2018/04/29
ぺが
6
前半は幼少の頃から嘘癖のある八十八が嘘を元手に小判をがっぽり稼ぎ、中後半は嘘を使って世直し、権力者を手玉に取るのは爽快、下ネタ有り、恋物語有りでなかなか面白く読み応えもありました、しかし、結末は予想外な結果に…全体を通して落語的で思わず笑ってしまう場面もしばしば、井上ひさししの著書は2冊目ですが他も読んで見たいと思います。2018/09/15
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