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内容説明
古代史の一級資料「倭人伝」。邪馬台国や卑弥呼への興味から言及されることの多い文章だが、それだけの関心で読むのは、あまりにもったいない。正確な読みと想像力で見えてくるのは、対馬、奴国、狗奴国、投馬国…などの活気ある国々。開けた都市、文字の使用、機敏な外交。さらには、魏や帯方郡などの思惑と情勢。在りし日の倭の姿を生き生きとよみがえらせて、読者を古代のロマンと学問の楽しみに誘う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
20
ちくま新書の森浩一さんの本は2冊目。大家ぶらず、難解な言ひ回しを一切使はないので、まことにありがたい。魏志倭人伝=魏志東夷伝倭人条なのだから、陳寿の当初の意図を読み解ひて議論すべきだといふスタンスは首肯できるものがある。 張政の役割がそんなに大きかつたのかどうか等、私には判断のつかないこともあるのですが、門外漢にとつては自由に考へることの大事さを教へられたやうで面白かつた。2017/07/15
こきよ
18
邪馬台国というと、九州説、畿内説など、とかく所在地論争が先に立つ嫌いがあるのだが、森氏は先ず、陳寿の著した倭人伝を丹念に読み解き、記された地を訪れることで、積み重ねた見識を用い、この書を深く考察する愉しさを我々に提示してくれている。
月をみるもの
17
日本という国を生み出した魏からの使者、張政を葬った古墳が北朝鮮にあるかもしれない。そんなことを聞かされたら、いつか訪問するチャンスを見出すため、できるだけ長生きしようと決意せざるをえないではないか。2023/08/01
月をみるもの
16
考古学からは、伊都国平原古墳とヤマト磐余の桜井茶臼山古墳の密接な関係が示唆される一方、魏志倭人伝を読み直すことで、張正という魏の使者が、卑弥呼の死とその後の秩序回復に大きな役割を果たしていた可能性が見出される。「神武東征は、ただの伝説では?」という意見への森さんの反論 → "太平洋戦争が終わったあと、日本の神話を否定しそればかりか記紀を読むことも非科学的とする風潮が学界を覆いつくし、かなりの期間それが続いた。青年時代のぼくはその風潮には根拠がないとおもって、黙々と文庫本の記紀を読んだ"2019/01/27
崩紫サロメ
15
本書は邪馬台国がどこかや卑弥呼に「だけ」関心を持つ人には「読んでほしくない」と言っており、『三国志』の著者陳寿の意図に沿って読み解く。著者は石川九楊や森博達と親しく、弥生時代や古墳時代の日本人が無文字社会ではなく、それなりに漢字文化を摂取していた考えている。邪馬台国東遷説を取り、倭人伝に記される張政という人物の行動からそれを読み解く。畿内説の強い京都にあって、誠実に漢文を読み、神話の中からも史実を反映した部分を読み取ろうとした考古学者の気概を感じる一冊。2026/04/27
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