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内容説明
古代史の一級資料「倭人伝」。邪馬台国や卑弥呼への興味から言及されることの多い文章だが、それだけの関心で読むのは、あまりにもったいない。正確な読みと想像力で見えてくるのは、対馬、奴国、狗奴国、投馬国…などの活気ある国々。開けた都市、文字の使用、機敏な外交。さらには、魏や帯方郡などの思惑と情勢。在りし日の倭の姿を生き生きとよみがえらせて、読者を古代のロマンと学問の楽しみに誘う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こきよ
18
邪馬台国というと、九州説、畿内説など、とかく所在地論争が先に立つ嫌いがあるのだが、森氏は先ず、陳寿の著した倭人伝を丹念に読み解き、記された地を訪れることで、積み重ねた見識を用い、この書を深く考察する愉しさを我々に提示してくれている。
月をみるもの
17
日本という国を生み出した魏からの使者、張政を葬った古墳が北朝鮮にあるかもしれない。そんなことを聞かされたら、いつか訪問するチャンスを見出すため、できるだけ長生きしようと決意せざるをえないではないか。2023/08/01
月をみるもの
16
考古学からは、伊都国平原古墳とヤマト磐余の桜井茶臼山古墳の密接な関係が示唆される一方、魏志倭人伝を読み直すことで、張正という魏の使者が、卑弥呼の死とその後の秩序回復に大きな役割を果たしていた可能性が見出される。「神武東征は、ただの伝説では?」という意見への森さんの反論 → "太平洋戦争が終わったあと、日本の神話を否定しそればかりか記紀を読むことも非科学的とする風潮が学界を覆いつくし、かなりの期間それが続いた。青年時代のぼくはその風潮には根拠がないとおもって、黙々と文庫本の記紀を読んだ"2019/01/27
浅香山三郎
11
ちくま新書の森浩一さんの本は2冊目。大家ぶらず、難解な言ひまわしを一切使はないので、まことにありがたい。魏志倭人伝=魏志東夷伝倭人条なのだから、陳寿の当初の意図を読み解ひて議論すべきだといふスタンスは首肯できるものがある。 張政の役割がそんなに大きかつたのかだうか等、私には判断のつかないこともあるのですが、門外漢にとつては自由に考へることの大事さを教へられたやうで面白かつた。2017/07/15
takeapple
11
森浩一先生の良心とも言える書。長年地道に研究して来た先生が、魏志倭人伝を読み直し解説してくれている。倭人伝だけでなく全体を読むこと、現地に行くこちの大切さを実感する。邪馬台国は九州だね。2016/06/10