内容説明
その世界では、ほとんどの人が≪名前≫を持たなかった。≪名前≫を持つためには多額のお金が必要で、大半は名無しのまま死んでいく。 ≪名付け親≫という職業につく少年・ニコルは、人々に≪名前≫を授けるために長い旅をしている。様々な国を訪れ、たくさんの人に出会い、ニコルは考える。彼らの人生にはどんな物語があり、そしてどんな≪名前≫が相応しいのか、と。 長い長い旅の中、ニコルは数々の≪名前≫にまつわる切なくも優しい物語に出会っていき――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優愛
89
「あなたに素敵な人になってほしくて、名前を付けたんですよ」一生に一度の名前を望む者、何度も改名を望む者、そして失う者――多額のお金を払えば名を持つ事が出来る世界。零れ落ちる星のように優しい口調で夜、ニコルが囁く名前は木々に実る木の実のように鮮やかで、浮かぶ星のように儚なさを香らせながらまた今夜依頼者の存在を色濃いものにしていく。名前をありがとう。お父さん、お母さん。そしてニコル。私は名前の由来に見合うくらい素敵な人になれたかな。願ってる、この名前が輝きを増す未来を。そして今日も皆を探すのです、夜空の中に。2015/01/04
まきこ.M
48
名前はあって当たり前?いいや、そんなことはありません。呼べる名前があるということは、とても素敵なこと。大切な人に呼んでもらえることの嬉しさ。魂ごとぎゅっと抱きしめてもらうような自分にとっての特別な名前の響きは、その人が遠く離れていても何度も反芻できる。ある意味自分そのものなのかもしれない。名付けの職業であるニコルは、彼らの辿ってきた物語をなぞり、どこまでも幸せを願って名付けるだけ。それは解けることのないキラキラした言の葉の魔法。夜を灯す星々の瞬く光の一つ一つに宿る世界。2015/02/25
たるき( ´ ▽ ` )ノ
44
おとぎ話のような、優しくて少し切ない物語。星が語り手になり、ニコルが名付け親として成長していく姿が描かれていく。一人ひとりに真摯に向き合い、丁寧に名付けていくニコルがとても好き!2020/06/11
すみの
43
名付けのために相棒・セッタとともに依頼主のもとへ旅するニコル。旅先で出会った夜毎の奇行・死神と呼ばれる娘とその友人『夜を灯す』、何度も名を変える依頼主『ずっと、近くで瞬いていた』、怠惰・怠慢なその生き方に名を取り上げられる『ある花実と』、先輩名付け親・ダイアとの『今日を息づく』、誇りを持った生き方に感動して『いつか手渡す』。名付け業1年のニコルが出会う名もなき人たち、そして名はあっても自分を省みず、大事なことに気づかない人たち。各話扉にあるニコルのメッセージが短いが良いな。2015/02/08
はちこ
32
恒星が語り部となって、寝る前にベッドでおとぎ話を聞かせて貰っているような読み心地の本でした。名前を持っているのはごく一部の限られたひとという、ある空の下のお話。余計な描写が多くて結局頭に情景や出来事が残りにくくなってしまっているので、もう少し文章を削ぎ落としてくれたらいいかなと思いました。2015/03/13
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