内容説明
“物理学界の詩人”とうたわれ、平易な言葉で自然の姿から現代物理学の物質観までを詩情豊かに綴った湯川秀樹。「詩と科学」「思考とイメージ」など文人の素質にあふれた魅力を堪能できる28篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
39
物理の根本問題:数学や言葉だけでなく、絵をかく(15頁)。イメージが大事な物理学ということらしい。そんなのだったら高校時代、地学ではなくて物理を履修すればよかったな。プランクは真理、真実に忠実な人だった(29頁)。20代で独創発見できないというが、大器晩成でアラフォーでも可能(41頁)というのは中年にも勇気と希望を与える。学問はどの学者にとっても、人間としての存在の全体と深くかかわりあっているものだ(1971年、57頁)。1人の研究者は3,40年に1,2度成功するだけで 十分(114頁)。2015/07/29
トムトム
27
日本初のノーベル賞受賞者。科学の人が何を感じて何を思うかを、堅苦しくない言葉で綴ったエッセイです。とても良い人だったという印象を受けました。ちょっと賢いぐらいではなくすごく賢い人になれば、人柄もついてくるのかなぁ。アインシュタイン、シュレーディンガー、ボーアなど、有名な人たちと同じ時代を生きた湯川先生。直接会ったお話などを読むと、不思議な感じがします。1966年のノーベル平和賞の候補者に推薦されていたと後から知り、ますます尊敬です。2020/10/28
金吾
22
小さい頃伝記で読みました湯川秀樹さんのエッセイです。物理の話なのでむずかしいかなと思いながら読みましたが、わかりやすく書かれていました。また謙虚かつ真摯な人間だったのだろうなと感じました。アインシュタインとの関係がわかる第1章も良かったですが、より内面がかいまみえる第2章が面白かったです。2021/08/31
しんすけ
18
日本にノーベル賞受賞者が何人いるのか数えたことはないが、ぼくが高校を卒業するまでは、湯川秀樹一人しかいなかった。 受賞の対象になったのが理論物理学と聞いて、それがどんなものか小学校の理科の先生に聞いたことあった。その答えが傑作だった 「貧乏人でも出来る学問です」 要する数式を頭の中で展開していくもので、機材を一切必要としないものだった。 それから七十年近く経って、表面だけは豊かになったが、精神的な豊かさを感じさせないのなぜなのか。2024/07/20
タカヒロ
18
文章には人となりが表れるように思います。 湯川さんは思慮深く、優しい人ではないかと勝手に思いました。2015/09/16