海外文学セレクション<br> 執着

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海外文学セレクション
執着

  • ISBN:9784488016623

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内容説明

マドリッドの出版社に勤める編集者マリア。独身の彼女が、毎朝カフェで見かける理想のカップルと思える夫婦がいた。彼女は二人を見ては、幸せな気分で出勤するのだった。裕福そうな夫とカジュアルな装いが似合う妻は、子供を学校に送り出してから二人で朝のひとときを過ごしているらしい。しかし、ある日、出張から帰ったマリアが久しぶりにカフェに行くと、二人の姿はなかった。そして、恐ろしい事件があったことを彼女は知る。あの夫がホームレスに突然殺されたのだ! しばらくして、未亡人ルイサと知り合ったマリアはルイサと親しい、亡くなった夫の親友だった男に恋をする。しかし、彼の気持ちはルイサにしか向いていなかった。そしてある日、マリアは、彼の驚くべき秘密を知ることになる。あの事件は通り魔殺人ではなかったのか? 三角関係の清算だったのか? それとも……? 現代スペインを代表する作家で、ノーベル賞候補と目される著者による愛と死と罪をめぐる哲学小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

37
マリアが憧れて眺めていた「理想の夫婦」、その夫が白昼道路で刺殺されるというショッキングな幕開け。事件を機にマリアはその未亡人と知り合い、彼女を慕う亡夫の親友ハビエルへの恋に落ちることに。物語には冒頭の殺人への疑惑も出てくるなどミステリーの要素もあるのですが、やはりマリア(とハビエル)の執着(恋)を描いたものなのではないかと思います。だって最後、思い人に心の中で「ほんとうに、きっぱりと、心の底から」別れを告げた後、「塵ほどのかけらだけで満足するというのは、ほんとうだった」なんて独白で締められてしまったら!2016/11/23

ロア

37
文字がびっしり詰まってる本がビジュアル的に好きなので、改行もスペースも無く一面を埋め尽くすページを眺めてはうっとり♡至福のひと時を堪能いたしました(*´Д`*)そんな、文字ぎゅうぎゅうの本なのですが、人間の脳内モノローグを途切れること無く文章にしたような、流れるように綴られる言葉の波が次々にページをめくらせるので、思った以上に早く読み終えて自分でもびっくり。重たい邦題に身構えて読み始めたけど、あれ?片思いで悩む描写が多いみたい…( 'ω')それもそのはず。原題は「恋に落ちる」でした。2016/10/03

かもめ通信

30
ほとんど改行がなく、時に1ページ以上続く長い文章が読み手に息つく間を与えない。物語が身体にまとわりついてくるかのようなちょっと変わった読み心地で、ねっとりと絡みつくような文体はあまりに濃厚で思わずめまいがしそうなほど。謎はある。推理もあるが、そこに明確な答えはない。あるのはただ濃厚なひとり語り。数々の国際的な賞を受賞し、ノーベル文学賞候補の一人とも目されているという現代スペイン文学を代表する著者の作品は、読み手を選びそうなとてもクセのある物語だったが、私はこういうの嫌いではない。 2016/09/05

ヘラジカ

18
冗談のような長思長考と常軌を逸した饒舌さには閉口させられる。しかしリズムを掴むと途端にリアリティが増して来て臨場感のようなものすら生まれた。なんとも恐ろしい筆力。ただしテーマがテーマなので、身を入れて読む程には惹き込まれなかった。なんて言うか思考実験的な小説といった印象。この作家の小説は他もこんななのか知らん。是非とも邦訳されているもう一冊の作品『白い心臓』も読んでみたい。2016/10/13

星野

17
タイトルに惹かれて。邦題が「執着」なだけで、実際は「恋に落ちる」らしい。なるほど。哲学的な文体自体は好きなんだけど、体調を崩している今読むのには辛すぎる改行のなさでした(笑)。目がめちゃくちゃ疲れた。でも内容としては結構好き。真相は闇の中。主人公の考えに共感。2016/10/09

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