新潮文庫<br> クロイツェル・ソナタ 悪魔

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新潮文庫
クロイツェル・ソナタ 悪魔

  • ISBN:9784102060117

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内容説明

嫉妬のため妻を殺した男の告白を通して、惨劇の理由を迫真の筆に描き、性問題に対する社会の堕落を痛烈に批判した『クロイツェル・ソナタ』、実在の事件に自身の過去の苦い経験を交えて懺悔の気持をこめて書いた『悪魔』。性的欲望こそ人間生活のさまざまな悪や不幸、悲劇の源であるとして、性に関するきわめてストイックな考えと絶対的な純潔の理想とを披瀝した中編2作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

だんぼ

333
Shiyouudou2023/08/22

ehirano1

86
クロイツェル・ソナタについて。人間の三大欲の1つである「性欲」について、「悪」「不幸」「悲劇(≒破滅)」の原因は『情欲』であるとの帰結。著者の「情欲」に対する純粋すぎる見解がわかりました。2024/09/08

ナマアタタカイカタタタキキ

74
情欲に捉われついに破滅してしまった人々の話。現代の性愛観からするとやや極端かもしれないが、性に取り憑かれた人間が狂気に呑まれていく鬼気迫る様が見事に描かれている。ここまでの高潔を保たねばならないのかは別として、禽獣的衝動に支配され身を滅ぼす人間は五万といる。しかし、情動が絶対悪なのでは決してなく、昇華に徹することで何とか人間足り得るのだ。文化的営みはそれを忘れさせるが、やはり人は動物的側面を備えており、時に不合理な意思決定をしがちな生き物である。それでも、そんな己の滾る獣性を飼い慣らし、→2022/11/23

Gotoran

73
両作品とも作者トルストイが、禁欲主義的視点から(男性の)性欲と内面の葛藤とその挙句の果ての悲劇的な結末を描く。ひとつは、情欲と嫉妬から被害妄想の権化と化した地主貴族(ポズドヌイショフ)主人公とした(ベートーベン楽曲と同名の)『クロイツェル・ソナタ』。もうひとつは、実話をもとにトルストイ自身の誘惑の思いに駆られた体験談からの、極めて純粋が故の主人公(エウゲーニイ)の内面心理の葛藤を克明かつリアルに描いた『悪魔』。誰もが心の奥底に隠し持つ性欲(情動)と理性の鬩ぎ合いを考えさせられた二編の逸品。2015/07/22

榊原 香織

72
結婚失敗短編2編。 割と面白かった。 ご本人の体験も入ってるんだろうか。 ”悪魔”は生前には発表されなかった。 非常にストイックな考えを持っていたとのことだが、散歩道沿いに彼似の子がぞろぞろ、というのは都市伝説なのかな2022/02/26

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