新潮文庫<br> 人生論

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新潮文庫
人生論

  • ISBN:9784102060179

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内容説明

いっさいの自己愛を捨て、理性的意識に生きることによってのみ、人間は真の幸福を獲得することができる――人間いかに生きるべきか? 現世において人間をみちびく真理とは何か? 永年にわたる苦悩と煩悶のすえ、トルストイ自身のこの永遠の問いは、本書にみごとに結実した。誤ることのない鋭い観察力と、愛の直感と心の目で綴った、人生についての内面的、哲学的な考察。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ehirano1

101
初読から約8年が経過した今になって再読しました。初読では圧倒され過ぎて何が何やらでしたが、生命を時間軸で捉えないことや、「愛」こそが苦しみや恐怖から遠ざかる唯一の手段であると。そして、「愛」を教えるのは(キリスト的)宗教であり、「愛」をコントロールするのが理性(と言っているように私には思えました)。なかなか興味深い考えでやっぱり圧倒されました。2023/12/28

ナマアタタカイカタタタキキ

66
まず、彼のいう“生命”の定義を把握することから始まる。その過程にあたる前半部分はやや晦渋な印象だったけれど、違う言い回しで何度も繰り返され漸く理解するに至る。動物的な生存には時間的制約があるが、理性的な生命はその時間・空間的な生存を超えて在り続ける。その生命にとってこの個我の意識とは、あくまで始まりの境界線に過ぎず、理性とは、我々人間がそれに従って完成されるための法則であるという。私自身の生命は、この個人的な生存を超えた先にあるもっと偉大な生命へと繋がっている、つまりはあくまで一部分に過ぎないのだ。→2021/09/23

みゃーこ

55
幸福とはあらゆる存在が他人のため生き、己自身より他人の存在を愛する状態である。生命との調和、あらゆる他人の幸福との調和、それは愛と言う究極の理性の追及にあるのであるという。理詰めで幸福を理解するとすればいつしか宗教と結びつく哲学に相似した理論に近づいていくのが不思議だ。2015/06/14

のっち♬

53
「生命とは、理性の法則に従った動物的個我の活動である。理性とは、人間の動物的個我が幸福のために従わねばならぬ法則である。愛とは人間の唯一の理性的な活動である」そこから自由や幸福が生まれる。鋭い観察力と豊かな考察力で結実した彼の人生論は、現世における人の生き方の道標として真摯に心に訴えかけてくる。生き方に迷った時、愛の意義が分からなくなった時、理性が信頼できなくなった時、死ぬのが怖くなった時など、様々な局面で本書に書かれた文面が頭をよぎる。死とて生命の一部、新しい関係はこの瞬間も確立され続けている。2019/12/08

Take@磨穿鉄靴

52
難解だった。人生論とあるが人生というより生命についての論文。個我の否定について重ね重ね論じているが学の浅い労働者である自分にはその真意を理解出来た気がしない。テーマから宗教の問題についても逃れられないし、本文でも触れていたけど自分の掌からでは上手くその真意を掬い上げる事が出来ず指の間からこぼれ落ちてしまった感が強い。また10年後にでも読んでみよう。★★☆☆☆2020/05/20

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