内容説明
明治開化期の浮薄な欧化主義に抗して、伝統的民族精神に根ざす人間の道である“柔道”を興した矢野正五郎。その紘道館道場に入門した姿三四郎は、やがて四天王の一人として、壮絶な“山嵐”をもって旧来の柔術諸流の挑戦を退け、師の理想の体現に励む。試練に耐え死闘を切り抜け、柔道一途に生きる青春の夢と苦悩、反逆と自省。不朽の名作の決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katakuli365
6
実在の人物をモデルに書き上げた活劇小説の面白さは抜群!夢中で読んで楽しめます。姿三四郎(講道館四天王の西郷四郎)は会津出身。明治15年、17歳で上京、紘道館の矢野正五郎(嘉納治五郎は東大出身、教育者、柔術に独自の理論で講道館柔道を創設)の弟子となる。時代は明治16年~20年の鹿鳴館時代。三四郎は得意技の山嵐で警視庁武術大会で柔術家村井半助に圧勝。右京が原で柔術家檜垣源之助と決闘、峰の薬師で空手の檜垣鉄心・源三郎兄弟と決闘、ボクシングのウィリアム・リスターと他流試合に勝利していく。。。2013/11/24
〜そよ風〜
2
「馬が止まると 蹄の下で 乾ききった黄色い埃が舞って、風のない夕方の日本橋通りは煎られるような暑さに、店舗の暖簾もひっそりと垂れたまま、打水する小僧も出ていなかった」…ものすごい暑さが身をもって感じられるように伝わる素晴らしい情景描写である。この書き出しからノンストップの手に汗握る大活劇が始まるのである。淡い想いも切なく織り込まれ、まさに青春の一冊である。
あらいぐま
2
今のジャンプ漫画にも通じる活劇小説。これ読んだのは高校の時だったかな。強い相手を求めて戦い続ける三四郎が格好良かった。
maru
1
剣豪小説ならぬ格闘小説のルーツは、ここから始まった。香り高い明治のロマンに、空手やボクサー、中国拳法など、異種格闘技のオンパレード。乙美さんとのラブロマンスといい、富田節を堪能できる。2013/03/10
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