内容説明
「文章心理学とは何か」「文章心理学の原理」「現代文章の諸相」「作家の文章心理」「文章の創作心理」「文章の改善と心理学」「日本のレトリック」より成る。新聞、文学作品など種々の文章を例にあげながら、日本語の表現価値についての科学的な研究の諸成果と、そこから導き出される日本文改善の意見を提出すると同時に、読者の、自己の文章観と文章技術を向上させてくれる好入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
torum
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私が生まれる前に書かれた本であり難解です。途中で挫折しそうになりましたが、結論まで読んで良かったです。表現とは、「仲介されたもの」を含んでいる。なんらかを仲介して出てきたものと解されるとき、始めてそれは表現としての意味を獲得する。名文か悪文かは、作家の表現と対象との距離がどれだけ縮められたかによって決定される。とのこと。仕事で文章を書くことが多いのですが、どれだけ対象との距離を縮めて表現できるかがポイントですね。現象を書き出しただけにならないよう、いかに仲介できるのかを忘れないようにしたいと思います。2017/12/14
ドヤ顔@平和主義者
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文学研究をする者ならば、一読して間違いない一冊。著書自体が古いため、全てが正しいと言い切ることはできないが、俳句と短歌の日本語的な違いとそこから生まれる性質や、文豪の文章を解剖することにより、文章から受ける印象というものがどこからきているのかを理解することができるようになる。2014/03/11
ヒトイチ
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非常に興味深くて、面白い内容。実際のものを表現しているが故に言葉は実際を表すことはできないが、そのギャップをどう埋めていくのか、という課題が自分の中に課せられた気がした。もっとたくさんの文章と出会いたい。また、その場面場面によって的確な引用を見ることができ、その比較が良かった。文章を書くことに興味がある人には、ぜひ手にとっていただきたい一冊である。2013/12/24