内容説明
一八六三年。数年後に控えた明治維新という一大転換を予感するかのように、時代はその歩みを早めていた。長崎は丸山の遊廓界隈を舞台に、時代の波に翻弄されながらも、ひたむきに生きようとする男女数名の愛憎、苦悩、希望が同時進行の形で描出されてゆく。綿密な考証に裏付けられ、土地の言葉を自在に操って、抒情性と力感溢れる文体で生き生きと語られる、著者初めての歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
29
☆☆☆ 長崎弁の会話に馴染めないのと、登場人物の視点がころころと変わるので、物語に入り込めなかったのが正直なところ。ただあえて「嘘のない歴史小説」を書いたというその試みには敬意を表する。きわ、尾崎、くら橋といった遊女たちの一途な想いは伝わってきた。2021/07/14
駄目男
18
井上光晴というと左翼系の作家で、瀬戸内寂聴と恋愛関係にあったことはよく知られているが、著者初めての歴史小説という本書が100均のワゴンの中に見つけ、これはもう買うしかないと思い手にした。舞台は幕末の1863年、長崎は丸山の遊郭。そこで働く遊女たちと客の織り成す男女の綾。この作品は井上光晴渾身の作品ではなかろうか。全編、長崎弁ということで馴染みのない言葉にえらく手古摺ってしまったが、読み下せないところは何度も立ち止まって見返し、それなりに納得してからでないと前に進めない。歴史は現在と過去との尽きせぬ対話。2025/03/28
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