内容説明
倫理学に、哲学に、歴史学に、数々の業績を残し、今なお学界の雄峰としてそびえる和辻博士の随想など、二十編を収める。身辺について語ることの少なかった博士が、恩師について、友人について、また京都の美について、筆のおもむくままに書き綴った貴重な随想集である。収録作品は、日本人の隠れた底流を探った表題作をはじめ、「巨椋池の蓮」「京の四季」「漱石に逢うまで」ほか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかつや
5
論文やエッセイなど集めたもの。1冊の本としてのまとまりはそれほどないけど、全体的には見過ごされがちな日本文化の優れた点に目を向けるようなものが多い。表題にもなっている論文は「キリシタン渡来時代前後における日本の思想的状況」という副題がついていて、その時代の日本の思想が必ずしもヨーロッパに劣るものではなかったことが論じられている。これが本書の中で一番面白かったかな。他にも漱石・藤村・露伴らとの交流の思い出を語ったものや、日本美術についてのもの、若い研究者に向けてのまあまあ厳しいお叱りなどもあって面白かった。2022/01/04
ぶらり
4
和辻の随想集、掘出し物!和辻は漱石のファンで思想的にも影響を受けたと自認。「漱石に逢うまで」では、「猫」の落雲館のモデルになった中学出身の友人と共に「オッカケ」になったことが語られる。和辻の手紙への漱石の返事には笑いと感動?を覚える。「漱石の人物」では、漱石の自宅で催される木曜会での様子を通じて師としての漱石、夫婦関係、親子関係が漱石贔屓に書かれていて興味深い。「人静月同照」の書は現存するのでしょうか。他の随筆も論点主張が明確で今なお色あせない。「『菊と刀』について」こういう反撥を感じてたのですっきり!2010/10/05
Hiroki Nishizumi
1
敵を敬せよ、は納得できるな2014/08/12