内容説明
プロレタリア運動に参加する作者自身の生活に起った、運動の解体や、夫の入獄と転向、といった事件に取材。仕事を持つ妻とその夫とが当面する問題を、深く追究したもので、互いに愛情と理解をもち新生活の建設に努めているはずの夫婦が、なお家庭生活にまつわる因襲や習慣に、矛盾した深い苦悩をなめねばならず、家庭崩壊の寸前にまで陥る経緯を、妻たる明子の立場から描いた力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
26
タイトルは、夫婦で買い物に出かけ、夫には秋の着物を選んだ妻が、自分のために口紅を夫に選んでもらう場面に由来する。傍目には仲良し夫婦に見えても、もはや関係は終っていることの醒めた意識の中でも、口紅はわずかな自らの自己主張の象徴だろうか。外で女を作ったのが原因というより以前に、同業者で夫婦をやっていくことに、すでに彼女は疲弊していた。文章を書けば階級間の不平等を正義感をもって訴えるのに、家では妻の前で専制君主であり、妻の仕事を尊重すると口では言いつつ、主婦としての義務を当然のこととして要求する夫への不満。 2024/08/23
メタボン
25
☆ 妻である明子、夫である公介、どちらともに全く共感出来なかった。仮面夫婦とでも言うべき表層的な夫婦関係のように映る。でなければ公介は、いけしゃあしゃあと新しい女のところに行くなどと言わないし、明子もそれを認めないだろう。第一に子供たちはどうなっているのかと言えば、祖母と女中に任せて、神奈川の海岸に預けっぱなし。どうなっているんだこの文学者夫婦は。どうも私にはプロレタリア文学は合わない。2022/03/20
nanaco-bookworm
3
嵐山光三郎さんの「妻との修復」で紹介されていたので読んだ。ドラマ「あなたには帰る家がある」の昭和11年バージョンといった感じ。夫婦が共に作家同士で新しい女として佐多稲子は努力するも空回りし夫は浮気。共働きを続けてきた我が身には共感することも多かった。だけど、こんなにも夫婦関係について突き詰めて佐多稲子さんは考え表現されている。私なんかけっこう自分たち夫婦についてアバウトにしか考えてないなあ。2018/07/14
悸村成一
2
プロレタリア文学の一例…。階級闘争、小説家と評論家-夫婦の危機、子供・老母のいる家庭、フェミニズム等が複合的に描かれる。転向はまだ他人事で、主題の圏内に入って来ない。38刷1978年。 592016/04/01
雲國斎
1
まったく記憶にない…。プロレタリア文学だったのね。1978/11/04
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