新潮文庫<br> 北の岬

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新潮文庫
北の岬

  • 著者名:辻邦生【著】
  • 価格 ¥440(本体¥400)
  • 新潮社(2016/06発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101068039

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内容説明

日本に二年の歳月を待ちこがれる婚約者がいるにもかかわらず、パリからの帰途、修道女マリ・テレーズと運命的な邂逅をした留学生“私”の内面を通して、永遠の光に照らされた至純の愛への覚醒を描く表題作。ほかに、晴朗な筆致で現代人の陥ち込んだ、この不確かな生、曖昧な生に、豊かな生命の息吹きを吹き込む珠玉の短編「ランデルスにて」「風塵」「円形劇場から」「叢林の果て」全5編を収録する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

349
表題作を含めて、辻邦生の比較的初期の5つの短篇を収録。いずれも捨てがたい魅力を持っているが、やはり最も心に沁みるのは「北の岬」だろう。語り手である「私」が、パリから航路で帰国の途につく途次の船中にはじまり、宗谷岬で語りが終わる。修道女の誓いを立てたマリ・テレーズとの、いわば悲恋の物語なのだが、その静謐さと内に秘められ抑制された熱情が紡ぐ時間は物語的永遠を生きることになる。宗教的な禁忌と自らに課す禁忌の相克が、絶対的な哀しみを伴いつつ、物語に崇高な美しさを付与するのである。2022/04/18

ちえ

36
数十年ぶりの再読。書影同様、シミが付き変色している自宅本。「北の岬」の映画の写真がカバーに印刷されている。「北の岬」のマリ・テレーズの主人公への言葉、身を投げ出して祈る姿に心打たれる。「円形劇場から」途中まですっかり日本が舞台と思っていたが「叢林の果て」とともにヨーロッパが舞台であり、見知らぬ場所へのあこがれ、想像、引き込まれていた。「ランデルスにて」「風塵」は怪しく幻想的。内容は見事なまでに忘れているのに、作者の本を読んでいると当時の自分自身を思い出す。気持ちがいっぱいになりなかなか感想を書けなかった。2022/04/24

Gotoran

10
タイトル「北の岬」では、日本に婚約者がいる主人公が、パリ留学の帰途の船で、出会った修道女(マリ・テレーズ)との航海中の交感、帰国後の“北の岬”での再会が描かれる。その他4つの短編。いずれも、繊細さ、静謐さ、かつ透明感が漂い、美しくも明快な言葉で綴られるナラシオン(語りという行為)。秀逸。辻文学の一端が垣間見られる。読メで目に留まった辻著作を切っ掛けに、はるか昔の学生時代に読み耽った辻作品を懐かしさを込めて、今再び目にしているところです、次は「夏の砦」を。2012/10/20

調“本”薬局問悶堂

1
北杜夫の本を読んで出てきた辻邦生。そういえば読んだことなかったと思い引っぱり出した。 映画も見てみたい。読みながら頭の中に映像が浮かぶ。 『ランデルスにて』と『風塵』は雨月物語を読んでいるみたいでおもしろい。 『円形劇場から』と『叢林の果て』は改行がまったくなくて、最初は読みにくかったけど『叢林の果て』はその途切れのなさで、どんどん引き込まれた。不思議な感覚。初めての読み方。 《2020年6月 登録》 私が仁成の本を読んでい20年くらい前は「辻さんの本が好き」と言うと辻邦生を思い浮かべられたな。2009/06/12

雲國斎

0
覚えてないわ,辻先生ごめんなさい。1978/04/14

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