新潮文庫<br> 未成年(上)

個数:1
紙書籍版価格
¥1,045
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

新潮文庫
未成年(上)

  • 著者名:ドストエフスキー【著】/工藤精一郎【訳】
  • 価格 ¥869(本体¥790)
  • 新潮社(2016/06発売)
  • 真夏も楽しく!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/11)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784102010150

ファイル: /

内容説明

富豪となり、権力を得ることによって自由を求めようとする私生児アルカージイ・ドルゴルーキー、信仰と不信、西欧とロシア、地上的な恋情と天上的愛に引き裂かれ、そのような自我の分裂を、「万人のための世界苦」に悩まなければならないロシア知識人の宿命と見る、実父ヴェルシーロフ――この分裂した人間像に、アルカージイの戸籍上の父である巡礼マカール老人の神を信じる素朴な精神が対置される。ドストエフスキー後期五大長編の一作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

131
貴族と農奴の私生児アルカージイは富と権力に憧れる一方で、父の愛を渇望する。『悪霊』に続き今作も不気味な存在感のあるニヒリストが登場。天上的善美と地上的欲望の狭間で痙攣しながら引き裂かれてゆくヴェルシーロフの姿は、著者が無神論を突き詰めた結果が反映されていると言えよう。思い込みの強い『未成年』な主人公の語りに加えて、人物や挿話も氾濫気味で物語の見通しが良くないが、複雑に屈折した彼の激しい葛藤は著者だからこそ表現できる痛々しさ。本書は「自分の事」を整理しながら「中庸と無感覚の時代」を考究する彼の新たな試みだ。2018/11/24

syaori

78
『悪霊』と『カラマーゾフ』の間に書かれた長編。貴族の私生子アルカージイの手記の形で物語が進みます。彼は「捨てられたみたいに」孤独に、一度会ったきりの父を憧憬しながら育った青年で、物語開幕直前に家族の元に来た彼の目を通し、彼の父を巡る人間模様が語られます。ただ彼が事情を「知らなすぎる」ため、展開されるのは憶測と疑問ばかり。そのうえ父に関係する人物の「重大な文書」を持つ彼は、自意識の高さと人生の経験の少なさから、何も見えていないまま周囲の人々の思惑に絡まっていってしまうので興味も緊張感も高まるばかり。下巻へ。2023/08/22

aika

60
今まで読んできたドストエフスキーの作品とは少しテイストが違って、不思議な感じがしました。私生児として生まれたアルカージィは、自分の理想を達成したいのに、実の父ヴェルシーロフをはじめとした人間関係に揺れて思い悩んだり、あれよこれよと動き回る様子が目まぐるしいです。父の愛を欲しているのに、どこか素直になれないところも、タイトルのとおり、未成年らしい青さを思わせます。最後の場面で、妹リーザに思わぬ事態が発覚したので、下巻からは楽しみです。2017/10/14

市太郎

55
主人公アルカージイの手記・回想といった形で物語は進む。主人公はロスチャイルドのような富豪になることに憧れ、乞食のような生活をしながら金を貯めようという野望の持ち主。その父も家庭もちでありながら色恋沙汰の噂が絶えない善か悪かよくわからない、という人物。複雑な関係の父子が中心となる。ドストエフスキーの五大長編の中でとりわけ評価が低いと言われる本作。確かに他作品のようなインパクトこそないけど、評価が気にならないくらい面白い心理小説的な物語だと思う。何気に主人公の愛憎入り混じる心理に共感してしまうのだが。下巻へ。2013/12/02

ころこ

51
本作の評価が低いのは、一人称のため長編の割には世界観が安定せず、思想的な強度が低いからだと思いました。一人称といえば『地下室の手記』ですが、ルサンチマン的な情念にはその思想性に合った長さがあることを示しています。あまりに長いとルサンチマンは勢いを削がれて行き先を失い、他方で一人称であるためポリフォニー的な他者の存在もいつまで経っても現われないため作品世界に奥行きをつくれない。小説は独創性を生む一方で、典型的な人間を描くことで読者に共感を呼びますが、典型が無いことでその人物に相応しい教訓が無いというのがドス2022/04/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/505863
  • ご注意事項

最近チェックした商品

 

同じシリーズの商品一覧

該当件数2件 全てにチェックを入れる/全てにチェックをはずす