内容説明
馬鈴薯や玉葱や南瓜に美を見いだして、あくことなく野菜の絵を描く老ドイツ語教師・佐田とその妻、聡明で個性的な息子、娘とその恋人たちが、人類の意志としての幸福を愛し、幸福を極めようとする、どこまでも素朴な善意を基調として構成された小説。彼らの周辺でさかんに交される、真情こもった当意即妙のユーモラスな会話は、読者の心を明るい希望で満たして尽きることはない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬見
17
あ、と思ったときにはぽろぽろと涙が溢れていて、幸福な涙に、泣きながら笑った。物語が始まって2ページ目でくすりと笑い、そんなことが以降何度も。軽妙なやりとりが心地よく、するすると読み進めた。「幸福になってほしい」と、物語の誰もが思っていた。それを「綺麗事だ」「理想論だ」なんて笑えない。そうであってほしいと祈り、そうなりたいと心から願える作品だった。とても気持ちが好い。家族を取り扱った作品は苦手だけど、この作品は大好きだ。久しぶりに結婚に対して肯定的な気持ちが湧いた。2017/12/10
湖都
14
ある1つの幸福な家族の物語。年頃の兄妹がそれぞれ恋をして、その恋を家族ぐるみで纏めて結婚が決まり、家族が増えて一層幸せだねという粗筋なのだが、物語の最初から滲み出る幸福感がすごい。毎朝娘の絵を描くことを楽しみにし過ぎる父、兄を小さな子供のように心配する母、妹の威を借る兄、兄の縁談を纏めに走る妹…。軽口を叩きあい、それでいてふとした拍子に涙が出そうな良いことを言う。純文学なのに軽くて読みやすくて、なんてことない筋書きでどこが良いのか上手く言えないけど、なんだか暖かい物語だった。2019/08/14
双海(ふたみ)
10
こうも巧く会話を多用するのは武者さんの得意技だなぁ・・・。2014/07/26
kanako
3
最後までしあわせすぎる作品でした。本当に幸福な家族で心底羨ましくて、お手本にしたくなります。綾ちゃんが本当にいい娘。2011/09/02
ひー
2
幸福な家族。武者小路先生は本当に文章が美しい2020/07/06
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