新潮文庫<br> 愁月記

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新潮文庫
愁月記

  • 著者名:三浦哲郎【著】
  • 価格 ¥440(本体¥400)
  • 新潮社(2016/06発売)
  • 3月の締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~3/31)
  • ポイント 120pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101135106

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内容説明

一家の暗い宿命を負って生きた母が、九十一歳で長かった辛い人生を終えようとしている。その死の前後を静謐な文章で淡々と綴った母への絶唱「愁月記」ほか、久しぶりに肉親たちや著者自身に関わる作品ばかりで編む待望の短篇集。収録作七篇は、それぞれ『忍ぶ川』『白夜を旅する人々』など、著者自らの運命の系譜を辿る諸作に連なるもので、短篇の名手が遺憾なく真骨頂を発揮する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

99
いわゆる私小説ばかりだが、味わい深い作品ばかりで非常に良かった。三浦氏の小説には、深い悲しみが漂っている。姉たちは自死を選び、兄たちは失踪した。残された者として、著者は鎮魂のために小説を書き続けたからだ。一番心を打たれたのは「ヒカダの記憶」だった。ヒカダとは火傷のことだ。北国で掘り炬燵に入り続けていると、ヒカダができる。著者は母が亡くなった時に、脛にできているひさしぶりにヒカダを見て、悲しみに打たれる。この火傷は、自分の子どもを失い、苦しみながら生きてきた母の勲章のようなものだろう。深い余韻を残す名作だ。2017/09/01

shizuka

59
母親、お母さん、母、三浦さんは末っ子だからだろうか母への思いが人一倍強いような気がする。決してマザコンというワケではなく、不幸な理由で次々と子供たちを失った母親を末っ子の三浦さんが精一杯慈しみ、愛おしむという意味で。兄弟たちの話、『白夜を旅する人々』執筆時の随筆も含まれている。先に小説を読んでおけばよかった。少し後悔。三浦さんの身の回りの出来事が題材、普遍的なようであってでも特殊だ。お母さんやお姉さんの人生も一緒に背負い、美しい言葉で昇華させていく三浦さん。三浦さんの言葉は私の髄へしみじみしみ込んでいく。2017/04/19

tomo

6
子供達の自死により、俯きながら生きることを強いられた両親との思い出をまとめた作品集。著者の作品は自身の生い立ちが濃く反映されているだけに、ページ数の割には内容の濃い1冊だった。2021/03/13

桜もち 太郎

4
「愁月記」と「ヒカダの記憶」は作家・三浦哲郎が息子として書かなければいけない使命があったのだろうと思う。やっぱり三浦哲郎の短篇は絶品だ。2013/05/14

あかつや

3
短編7編。ある程度長く生きるとだいたいやってくる近しい者の死。長く患ったが91歳まで生きた母の死、ずっと昔に死んだ父、若くして自ら命を絶った姉たち、行方知れずの兄たちを思う。そして生きて家族を作った自分にやってくる身体の不調。これはまさに人生の後半期の小説だな。一番好きなのは「ヒカダの記憶」。かつての東北の寒い冬、暖房は炭火で、掘り炬燵に炭火を置いて暖を取る。その時女たちはズボンじゃないから脛が焙られて痕が残る、それを「ヒカダ」というらしい。この痕は人それぞれ形が違って、死んだ母の脛に懐かしい模様を見る。2021/11/04

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