内容説明
人は「たかが野球」と言うかも知れない、だが僕にとっては「されど野球」だった――。かくも騒がれたあの「空白の一日」とは何だったのか。ユニークな父のこと、今も記憶に残るマウンドでの一球、そしてわが家族のこと……。不世出の投手江川卓が、その半生、短くも波瀾に満ちた九年のプロ野球生活を、華やかなスポットライトの届かなかった部分まで余すところなく語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ランフランコ
3
この1球を投げたらもう投げられなくなる等というのは漫画のような話で胡散臭い。江川だけに余計にそう感じる。しかし、確かに小早川にホームラン打たれてあの江川が泣いてたんだよ。だから全くの嘘っぱちではないだろう。
西澤 隆
2
彼の引退直後以来20年以上ぶりに突然読みたくなったのは沢村の不調がトレーナーの鍼治療原因だという報道のせい。「本当に凄かった江川」に微妙に間に合わなかった僕にとって彼は「時々すごいけどいつもはそこそこで敵チームだけど憎めない」ヤツ。文章を読むとひょうひょうとした中にとてつもない気遣い、もっと言えば他人との軋轢を避けようとするしんどさを感じます。「空白の一日」はハタチそこそこの子に十字架を背負わせる、それほどに重いものだったのだな。僕にとってテレビで見る野球がもっともっと大切だった頃の愛すべきヒールの物語。2017/09/15
mtz
1
江川の考え方、プライド、空白の一日の心情などが伝わってくる。読了後インターネットで江川の情報を読み漁ってみた。小林繁との対談、キャンプレポートなど。苦労克服した良い表情をしているな、と思った。2022/09/04