内容説明
男が絶対の位置に坐っている世間の、そのような男からは離れた女、すなわち、ひたすら愛情だけに生きる女が、その愛情を失うことになったときの、まるで救いようのない虚無感、生活と心の拠りどころを失った女の哀しい運命を、永遠のテーマにした林芙美子の佳篇。昭和二十六年、朝日新聞に連載中、突然の作者の死により絶筆となったが、後に映画化されて、絶大な成功を収めている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YuiGaDokuSon
6
映画(原節子主演)を先に見たんだけど、原作とはだいぶ違うが、どちらも好きだ。以前「浮雲」を読んで、同じ女性として共感できなかったけれど、「めし」では大きく共感できる。女性心理の描き方が、本当に素晴らしい。「浮雲」を読んだのは数年前なので、今読み返すとあのどろどろな心情も、理解することはできるのかもしれない。2012/02/09
アン
4
夫婦というのは本当に特殊な形態だ。リアルな夫婦の心の描写に引き込まれた。2015/10/26
tekka
2
成瀬巳喜男監督の映画版(主演は原節子)を観たのがきっかけで、原作に当たってみた。夫に対して徐々に気持ちが離れていく主人公の心情が丹念に描かれ、飽きずに読ませてくれる。作者の突然の死により、未完になったのが非常に残念。2021/09/19
かすみ
1
初めての林芙美子。絶筆なんだ。これかいてる同時期に逝去されたという話。三代子も里子も、いったいどうするのが幸せなんだ。結婚して5年もたてば生活に慣れて、仕事がなければまるで家政婦のように日々家のことをするだけ。28歳なんていまではまだ若いのに、この時代では中年近い。夫に安心を感じられなくなって、昔の男と並んで歩いてもなおその人の足りないところに目がいくシーンが印象的。里子の奔放さは目につくけど、男中心の社会の中で息苦しさを感じているのは同じ。 里子(さとご)に里子(さとこ)って名前つけるのどない2025/08/03
...
1
この後、姪っ子に振り回されるであろう主人公が、未完ということで助かったと思うべきだろうか。2015/05/13
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