内容説明
30年後のニホンの未来像を描き絶筆となった表題作ほか、強くしなやかに生きる女性たちの姿を追った「ニューヨーク、ニューヨーク」「オートバイ、あるいは夢の手触り」を収録。女性や弱者、辺境のものたちへの優しい眼差しと現状への異議──。日本を超えて世界規模の視野を切り拓き続けた津島文学のエッセンスがここにある!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
46
生前最後に発表された表題作を含め、晩年となってしまった時期の短編3作。シングルマザー/先住民族/核と生涯追及してきたテーマが続く。短編だから人生の断片が語られるだけだが、それぞれの"生きざま"の総体を彷彿させられる、この作家の美点が出ていて好ましい。しかし表題作は彼女の作品系列の中でも異質だ。30年後の日本のディストピアの世界。ちょうどセシウムの半減期の年。決して成功しているとは言い難いが、東京2020オリンピック以来のヤマト民族主義独裁政権によるフクシマ民族差別と軍国青年団強制入団法制定は、残された者↓2016/11/23
ふみ
31
これは怖い。漠然と日本の将来を憂う今日この頃だが、その正体をしれっと具現化してる。タイトルに半減期をもってきたことにはうなってしまった。2019/05/01
百太
28
津島 佑子さんの本、もっと読みたかったです。短編の「半減期を祝って」の続きがもっと読みたかったです。2018/03/16
燃えつきた棒
25
僕は、表題作よりも、「ニューヨーク、ニューヨーク」に心惹かれた。 昔観た浦山桐郎監督の映画「私が棄てた女」を思い出して、なぜか後ろ髪を引かれるような気がした。 2016/11/08
tom
21
たぶん、初読みの作家。名前しか知らない人。最後の頁を読んでみると、亡くなった直後に出版された本。そのこともあって、なんともコメントが書きにくい。少なくとも、表題作は、短編としても物語としても、奇妙に値打ちがないような感じがあります。表題作以外の2作は、それなりに読んだのだけど、楽しんだのかどうかと問われたら、楽しめなかったとしか答えられない。私は、楽しく本を読みたい人だから、津島祐子さんは、私からはちょっと離れた人だったということでした。2017/05/05