内容説明
天才中の天才ニュートン。ニュートンの「プリンキピア」を12歳で読破した早熟の天才ハミルトン。ヒンドゥーの女神のお告げを受け、新定理を量産した神がかり的天才ラマヌジャン。天才はなぜ天才なのか。才能ゆえの栄光、が、それと同じ深さの懊悩を彼らは抱えこんでいたのではなかったか。憧れ続けた3人の天才数学者の人間としての足跡を、同業こその理解と愛情で熱く辿った評伝紀行。
感想・レビュー
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ntahima
44
当り前のことだが作品は著者名ではなく内容で評価されるべきである。著者の国家、国語、教育に関する論にはあまり共感できないが、数学エッセーに関しては大のファンである。本書は氏の敬愛する三人の天才数学者の故郷を訪ねて書いた評伝であり、司馬遼太郎の『街道をゆく』のような雰囲気がある。特にラマヌジャンを描いた『インドの事務員からの手紙』は一読の価値あり。エジソンは「天才は1%のひらめきと99%の汗」と語ったが、ごく稀に99%ひらめきとしか思えない人がいる。人はラマヌジャンを「天才ではなく天より舞い降りし者」と呼ぶ。2012/08/07
maimai
39
ニュートン、ラマヌジャン、ハミルトンといった歴史を代表する学者たちの物語です。ニュートンがいなかったら文明の発達が50年は遅れてたという話には驚愕、また体を壊す位に研究をしたニュートン、30時間研究して20時間寝たというインドの天才ラマヌジャンには唖然としました。どんだけ研究好きなんだよ(・・;)。あと思ったんですけど三者に共通するのは才能を認めて支援をしてくれる人がいたということ、研究が好きという情熱に負けたんでしょうか。偉大な業績って1人では成し遂げられないし支援してくれる人あってのものだと思います。2016/11/29
イノ
21
3人の天才数学者の生まれた地を旅をしながら振り返る贅沢な伝記。 個人的に印象に残ったのはラマヌジャン。 「なぜそんな公式を思い付いたのか見当がつかない」と言われる天才で、本人も女神が教えてくれたと直感や神託から見つけると言う。 証明と言う形で真理を探す数学が宗教や美的感覚からも見つかるのが面白い。 心どころではない孤独な天才達の生き様が見れて 人間ドラマがあふれてて数学が詳しく無くても楽しめた。 インドのカースト制度、ヒンドゥー教の話も面白かったが 野生の人間のイメージがあって行きたくは無い。2016/10/10
sankichineko
20
天才数学者の、一途さと執念深さを思い知らされる本。母、初恋の人、神、それぞれ対象は違っても、死の瞬間まで思い続ける思いの深さ。その思いの深さが、数学に対しても発揮されるのでしょうか。いつもながら藤原先生の文章は大変読みやすく、面白い読み物でありながら、多くの知識を得ることができます。この本も、数学者の伝記としてだけではなく、旅行記としても楽しむことが出来ます。20年近く前の本なので、インドの描写などは古いとは感じますが。しかし何冊読んでも、ラマヌジャンについては、神秘、としか言いようがない。2015/07/12
じろー
17
ニュートン、ハミルトン、ラマヌジャンと三者三様の歴史的数学者の物語。傑出した才能を持つ人はその才能、熱量ゆえに他の事が出来ず、生き方下手になる場合があるようです。ラマヌジャンは奇跡的な人でしたが、数学以外のことをせず落第したり、30時間研究して20時間眠り続けるなど数学に没頭しすぎたがために寿命を縮めたのではないかと思います。天才とは軽すぎる表現ではないかと感じました。2018/06/21