- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
罪と病という二重の試練を背負った子どもたち。医療少年院で、精神科医として彼らと向かい合う著者が、多くのケースとの関わりを通して、異常な行動の根底にある問題に迫っていく。なぜ、彼らは自らを傷つけ、他人を害さねばならなかったのか。想像もつかない冷酷な犯罪を犯してしまったのか。損なわれた心は回復できるのか。人との絆は取り戻すことができるのか…。だが、そこに浮かび上がるのは、決して特別な子どもたちだけの問題ではない――。圧倒的な事実の重みと、子どもたちの悲しみが胸をつく、臨床現場からの痛切なメッセージである。【目次】はじめに 社会を映す鏡としての医療少年院/第一章 回避空間の病理/第二章 親という名の十字架――愛情飢餓と命がけの自己アピール/第三章 劣等感に塗れて/第四章 運命を分けるもの――非行発現のメカニズム/第五章 社会が生み出す非行/第六章 壊れた心は取り戻せるのか?/第七章 本当の希望を取り戻すために/おわりに 明るい未来は明るい子ども時代がつくる/参考文献
目次
はじめに 社会を映す鏡としての医療少年院
第一章 回避空間の病理
第二章 親という名の十字架――愛情飢餓と命がけの自己アピール
第三章 劣等感に塗れて
第四章 運命を分けるもの――非行発現のメカニズム
第五章 社会が生み出す非行
第六章 壊れた心は取り戻せるのか?
第七章 本当の希望を取り戻すために
おわりに 明るい未来は明るい子ども時代がつくる
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
72
医療少年院の精神科として世間を騒がせた重要事件の少年らとも関わっているはずの岡田先生。この本では敢えて一般的なケースを紹介し問題を論じている。そこに岡田先生の、罪を背負うに至った子どもらの真実を伝えたいという真摯な思いを感じ取ることができる。「子どもに、薬物を、売春を、暴力を、憎しみを、自分勝手な心を教えたのは、大人であり、この社会なのである」「社会や大人によって壊されたものは、社会や大人の責任で、育て直す必要がある」教官の技術を「職人技」と表す。心ごとぶつかって子どもに光を当てようとする人たちがいる。2016/07/07
♡kana*
20
難しいよねー。人間関係って、親子にも当てはまること。2016/11/01
寝落ち6段
8
医療少年院に送られる少年たちはどのような子たちなのだろうか。どの事例を読んでも、出てくるのは「愛情」という言葉。子どもは小学生のうちに認められることとそうではないことを学んでいく。それは愛情をかけた教育の賜物だ。そして、主体性や思考・判断力を培い、コミュニケーションをしていく。その根幹である愛情、特に親という無償の愛を与える存在は大きい。非行に走ってしまう少年たちは、自分ではどうしようもない家庭の不運を抱えている。乗り越えてほしい。しかし、非行による被害者がいることを少年たちは忘れてはいけない。2019/11/18
cPu
7
子供に薬物を、売春を、暴力を、憎しみを、自分勝手を教えたのは大人であり、この社会である。P269より。いまこそ社会の認知が必要だ。凶悪な少年犯罪を犯す子供たちの生育歴をおっていくと虐待されている悲しみの子供たちの姿がうつしだされる。 親の無責任さ、自己愛に犠牲にされ続け利用された子供は莫大に傷つき悲しみ怒り狂い親も社会を信用せず、共感が育たず親や社会を憎み犯罪をおかす。P150より 子供を本気で守ろうとするならば、子供を食い物にして平気な大人たちにもっと厳しい姿勢で挑む必要があるように思える。2010/02/24
もくたつ(目標達成)
5
岡田尊司さんが医療少年院で出会った子供たちの症状を書いたもの。罪を犯し、一度人生で立ち止まった少年達が心を回復させていく過程が描かれており、人の人生に関わることで簡単には読み流せず、丁寧に読んだ。子供は生まれ落ちた環境に影響を受ける。育児放棄や虐待をする親の下に生まれた子は、その環境をなんとか生き抜かなければならない。酷い環境で生きてきた、辛く重い経験を背負った子供達の例を読んで、子供を大切に育てる余裕のある社会であってほしいと切に願った。2019/09/14