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内容説明
仏教って、こんなに新しく面白かったのか! 常住不変な存在としての「私」を否定する無我。主客二元論を根本的に否定する縁起。無意識の世界、絶対現在の時間論等、現代西洋哲学を先取りした思想に迫る。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
33
(再読)初読のときはかなり斜め読みをしていたことに気づいた。今回は素直に読めたので糧ある読書となった。内容は「縁起」があらゆるものを成り立たせているという概略を述べたもの。存在する事や物、言語、心、自然、仏(神)、時(空)間=世界が縁起によって成り立っているといことが仏教哲学をもって語られている。一応、極めつけとして縁起それ自体もまた縁起によって生滅しているという竜樹の『中論』も説明されているが、それなりに仏教の知識がないと理解するのは難しい体裁の入門書といえるか。例えば、存在する事や物においては、2020/10/07
イプシロン
19
「入門」とあるが、入門者が読んで理解できるとは思えない内容。少なくとも「空」と「縁起」を知らないで読むのは苦痛かもしれない。哲学としての仏教と銘打ちながら、宗教としても社会に役立つべきと述べるあたりに一貫性を欠いているのは残念だ。宗教=超自然・超自己の探求であって、哲学(仏教)=自己を対象とした自然哲学・実践的認識哲学ということを理解していないのかもしれない。その実践の部分に宗教性を見ているのかもしれないが、定義の曖昧さは避け得ないだろう。良き倫理や道徳が優れた哲学から生まれるという弁には同意するのだが。2018/05/14
モリータ
12
◆著者は東大印哲出身、筑波大名誉教授・東洋大学長。専門は仏教学(大乗仏教、唯識・華厳思想)、宗教哲学。◆「存在・言語・心・自然・絶対者・関係・時間」をテーマに、主に中観・唯識・華厳・天台・密教思想の考え方を紹介。テーマ設定は魅力的であり、筆者の専門分野は未知の内容のため興味がもてたが、以下の点で仏教学ないし比較宗教哲学の「入門書」としては?がつく。◆西洋の近代合理主義・要素還元主義・主客二元論が見直されるポストモダンの時代において、仏教が古くからいかに深く先進的だったかということを繰り返し述べるが(続)2018/05/22
かんがく
9
存在、時間、絶対者などの西洋哲学において思索対象になってきたテーマに仏教思想が早い段階から触れてきたことがわかる。2024/12/30
Sugi Takahiro
8
仏教は唯物論。世界は我々の認識を通した世界であって、永遠不変のものはない。真に有るものは自分自身を保つもの=ダルマ=法。 言葉は否定による規定であって、真の肯定ではない。そして真に有るものは言葉では表せない。しかしそれを言葉を超えた体系で語ろうとする教えが仏教、言葉を捨てる実践が禅。 五感の他に、末那識(意識下の世界で自我に執着)と阿頼耶識(個人を越えた全ての人類の過去の経験の情報)が有る。全ての識は刹那滅。 過去は今の心における想起であり、未来は今の心における期待である。あるのは変わり続ける今のみ 2015/08/28