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内容説明
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日本が「ものづくり大国」となったのは、決して「手先が器用で勤勉だから」だけではない。独自の「技術」を生んだのは、どの国にも真似できない独自の「発想」であり、それを培った「文化」だった。「ものまね大国」と批判するだけでは見えてこない、オリジナリティあふれる発想がなぜ生まれ、どう技術に生かされているのかを検証し、これからの日本が進むべき針路を見出す!(ブルーバックス・2008年11月刊)
目次
第1章 日本的技術発想の突破力-携帯電話の事例研究
第2章 「発明」と「商品化」のあいだ
第3章 ものづくりに宿る「軽薄短小」技術
第4章 からくりをロボットに変える「合わせ技」
第5章 模倣を超える「工夫力」と「考察力」
第6章 軍需に頼らない「民需王国」
第7章 一億人の「わがままな消費者」
第8章 基本機能になった「環境」「安全」
第9章 技術文化国家への道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
№9
26
感動した。この手の本で感動したというのもなんかおかしいが。日本の技術力は世界を席巻している。日本製電子部品の世界市場におけるシェアはなんと43%、携帯電話に限れば60%台に達するという。日本の国土は米国の25分の1でGDPは米国の3分の1であるが、1平方kmあたりのGDPで考えると米国の10倍となる。TVや新聞では知ることのできない日本という国のポテンシャルの高さ、凄さが本書で語られる。著者の筆致が洗練されていてケレンミがないのもいい。技術の民主化、日本列島の「知域化」など著者の造語もたのしい^_^2013/12/06
メタボン
16
☆☆☆★ 日本人らしいものづくりとは何か、立ち止まって考えてみたいと思わされた。風呂敷の効用。確かに、折ったり畳んだり包んだりと、柔らかで万能で何度も使えるという意味では、素晴らしい包装材。小さいもの、薄いものへのこだわりはやはり日本人。日本人はものまねが得意だが、創造は不得意と良く言われるが、応用力という点では抜きんでている。2015/10/22
猫
4
難しくて理解しきれない部分もあったけど、日本の物づくりのすごさは十分感じられた。明治以降の西洋文化と技術の模倣に絞って書かれていたけど、古くは中国の文化は何でも優れたものだとして模倣し、独自の文化に昇華してきた歴史もあったわけで、もともとそういうことが得意なお国柄なんだよなと。それが悪いのでなくて、取り入れたものをさらに高めていくすごさと、日本がやってるすごいことは模倣だけじゃないんだよ、という話。2014/09/22
放蕩長男
3
技術大国。かつては自他共にそう呼ばれた日本ですが、徐々にものづくりの現場は東アジア、東南アジア諸国へ移りゆき、技術の力が薄れているのではないか、という声が日増しに多くなっていきます。しかし、日本には簡単に模倣できない確かな技術があることも事実です。職人技、ソフトウェア開発、数々の基礎技術。簡単には模倣できない、文化的に他のアジア諸国には模倣しえないものづくりの力が、日本には確かに根付いています。私もものづくりに携わる技術者として、少し誇らしくなりました。2016/07/27
茶幸才斎
2
日本の高度な産業技術を西洋の単なる「ものまね」として片づけるのでなく、既存の発明をモノとして精密化、小型化、多機能化して優れた製品に仕上げていく発想と能力は、もっと評価しましょうよ、という内容。高度成長期には、優秀で勤勉な技術者たちが、マニアックな要求仕様の製品開発に全身全霊でどっぷり打ちこめたが、昨今は経済の低迷により、短期に成果が出ない技術研究は続けるのが容易でない。井深大の「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由豁達にして愉快なる理想工場」(p.148)を日本に再び取り戻したいものだ。2010/06/10