講談社文庫 隅田川浮世桜

著者名：小杉健治【著】

講談社（2016/06発売）

• ISBN：9784062751599

内容説明

文化の花咲く明治の世。興隆を極める歌舞伎界の御曹司・人気役者の羽村市之助が、大事な舞台に穴を空け、失踪した。市之助と馴染みの芸妓・志津香が苦衷の日を過ごす一方、志津香を育てた向島芸者・お良（りょう）の身辺には陰謀の影が迫っていた。梨園と花柳界を舞台に描く、芸と愛と人情の物語。（『花の堤』改題）

感想・レビュー

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[山内正]

皮肉っぽい笑みでよろけた勝吉　 他の客なんざいいんです　 今度の勧進帳が上出来ならと 機嫌を直す こんな芸者に夢中になるから芸が 落ちたんです 何だ？今の話は 流しの歌朝さんが座敷は上ると 女将がきた ご希望は何に？お姐さんに高音を 語り終り先代弁慶に近づいた様に まだ先代とは比較になりません　 俺の何処が駄目だと まず見得が決まってません貧弱に見えるんですそれにと 何故お怒りになるんで未熟を怖かったんじゃ 歌朝さん行きましょうと女将が手を引く 初日の前に私の席にと勝吉が 何か気になる事があるんですか?

2022/03/27