内容説明
「三年坂で転んでね」――帝大生の兄が怪死する直前に残した言葉を手掛かりに、東京の坂を巡る実之。その東京では、大火の度に放火魔とおぼしき人力俥夫の姿が目撃されていた。“転ぶと3年以内に死ぬ”という禍々しい言い伝えと、近代東京の命運を揺るがす謎に、高嶋鍍金が挑む!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
52
明治の東京の街の変遷と受験生が、優秀な兄の突然の死の真相を探るミステリーを融合させた物語。兄の死をめぐるミステリーより、古い地図を頼りに「三年坂」を辿る部分が初期のブラタモリ風で楽しい。2020/09/15
takaC
52
井上夢人選評の「しかし、この作品の面白さは、あまりに題材自体のものでありすぎた。小説が生み出す面白さではないのだ。」が実に的確。他の選考委員(綾辻行人・大沢在昌・真保裕一・乃南アサ)も決して褒めてはいないゾ。2013/10/08
siro
38
坂をひたすら探す部分で挫けそうになりました。東京の地理に明るい人なら楽しめるのでしょうか?二つのパートの重なり合う所まで随分待たされたかと思うとぽんっと解決してしまい置いてきぼり感。鍍金先生のキャラは好きでした。2014/09/28
青葉麒麟
20
期待してた内容と全然違くて読むのが苦痛だった( ´△`)ただ坂を探す内容だった。東京在住じゃ無いから地形や地名なんかも全然判らないし兎に角、退屈。もっとおどろおどろしいモノかと思ってたのに。2013/03/07
はるるん
19
読み終えた率直な感想。本当に乱歩賞受賞作?兄の不審死、父の失踪、神田大火に纏わる三年坂を追う二つの視点。設定は良いと思うし後半は急展開を見せ面白い。ただ実之がいくら兄の真相を追うにしてもあそこまで坂に拘るのがご都合主義と言えなくないし数ある関係者が急に怪しくなりだすのが唐突すぎ。伏線→回収ではなくいきなり回収に入る所が読者を引き付ける構成になっていない。読み手が謎を追うのでは無く、ただ延々と解説を読まされている感が強く冗長に感じてしまうのは無理もないだろう。良く受賞出来たかと思うと酷評にならざるをえない。2018/08/02