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内容説明
「時間を超えた逆転劇」、それが、冴えない始祖、ユーグ・カペーが頭の中で描いていたことなのか? 「名ばかりの王」から300年の時を経て、ローマ教皇、神聖ローマ皇帝と並ぶ権力者としてヨーロッパに君臨するまでの物語。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Nat
46
長く放置していてようやく読み終わった。読み始めると、面白くてスイスイ進んだ。佐藤賢一さんも言っているが、直系の男子だけで15代、341年も続いたカペー朝の歴史はまさに奇跡。最後に王たちが次から次へと亡くなってしまったのは、破滅させた神殿騎士団の呪いと言われることに頷きたくなる。2022/12/27
mob
35
・小説家の手によるフランス通史。一応のストーリー性で読みやすく仕上げてある。面白い所をだいたい他で楽しんだ後の通史振り返り。家臣団、官僚と、じわじわ国家が固まっていく様子がサクサク読める。 ・対アンジュー家、十字軍、対カタリ派あたり忙しく並列に進む。王朝史の本なので勝手な解釈はないが、王権にとっては繋がっている。十字軍の立場の不安定さを知れば南仏で活かし、南仏で異端審問の不条理な力を知ればパリで活用する。一つ一つは酷いのもあるが、他の王侯一族に比べ前進し続ける意思を強く感じる。 ・カッパのカペーさん……。2021/09/14
rosetta
31
9世紀にフランク帝国が分割された時に一応のフランスの歴史が始まる。カロリング朝の元に実力を蓄えたカペー家のユーグが王位に着いた時が本当のフランス王家のスタートだった。それから三百年十五代続いた王朝は初めは一介の豪族レベルの力しかなかったが、突出した人物に恵まれた訳ではないながら時間をかけて自家以上の領土を持つ諸侯を次第に飲み込んでいく。何だか読んでいてカペー家の伸張に騙されたような気分になる(笑)当時の諸侯にとってはもっと切実にそう感じたであろう。大店から分家した個人商店が大発展してヴァロア朝に繋がる。2019/11/09
石油監査人
28
著者は、フランス・ヴァロア朝の事件を描いた「王妃の離婚」で直木賞を受賞した作家。この本では、小説家らしい筆の走りでフランス・カペー朝の歴史を綴っています。カペー朝は、西暦987年から1328年まで、15代続いた王朝で、フランス王国として最初の王朝となります。後のブルボン朝などと比べて、馴染みの少ない王朝ですが、パリ周辺の弱小で名ばかりの国王だったカペー家が3世紀以上の時間をかけて、フランス全土を掌握する歴史的過程は読み応えがあります。それにしても、肥満王ルイ6世という呼び名は、本人が聞いたら怒りそうです。2025/09/19
ごん
25
佐藤賢一さんのフランス王朝史の一冊目。弱小のカペー朝が時間と世代をかけて諸侯に優越する権威を確立していきます。 カペー朝の「カペー」の語原が「合羽」から来ているとは知りませんでした。2019/08/01