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内容説明
畝傍山・耳成山・天香具山にこめられた思い。特定の場所に堆積する神話、伝説、物語、歌。日本人の心の原郷・大和三山を介して共有される土地の記憶やイメージを万葉歌から読み解く、刺激的な古典研究の冒険。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
55
最近の私は‘山’といえば大和三山。「低くても日本人に愛される山の代表(P13)」だそうです。とても真面目な内容なのに、大和三山ツマ争い伝説の話では「元カレといさかいが…」とか「それまでつきあっていた男の…」なんて文章が出てくる。万葉研究者たちがこうして議論している場面を想像すると可笑しくて(スミマセン)。とにかく持統朝の人々にとって香久山は神聖で特別な山だったということが良く解った。「香久山は時間を自覚する場所(第五章)」というのがとても印象的だった。2019/08/11
りー
15
大和三山を様々な視点から考察した本。ほほぅ、と思ったのは、三山をもって都の守りとする思想は百済、新羅と共通しており、平たく言えば、方角の目印だったという点。中国神仙思想の三神山や仏教の須弥山などにルーツを求めることができる。東アジア共通の流れが興味深い。また、中大兄の歌「香久山は 畝傍ををしと 耳梨と相争ひき 神代より かくにあるらし 古も然にあれこそ うつせみも 妻を 争ふらしき」には、香久山女性説、男性説があり、更に細かく見ると耳成山を男性と見るか女性と見るかで解釈が異なってくるのも楽しく読んだ。2020/06/20
あいくん
8
☆☆☆上野誠さんは奈良大学教授で、万葉集が専門です。 大和三山のことは奈良に行くたびに意識しています。 行ったことはまだありません。 香具山は標高152メートルです。 畝傍山は199メートルです。 耳成山は140メートルです。 三山とも低い山なので、一日で登れるそうです。 登ってみたいです。大和三山は世界遺産候補のリストにあげられています。 歴史の記憶のある山です。 2017/09/18
とし
4
著者は万葉学者。万葉集に詠まれた畝傍山、耳成山、香久山の大和三山について考察している。古代の奈良を知ろうと思って読んでみたんだが、エッセイ調の砕けた文体にも関わらず、内容は基礎知識が薄い素人にはかなり難しかった。僕なんかでは、平安時代以降ならともかく、『万葉集』の時代になると、和歌は理解するだけでも難しいんだよな~。完全に勉強不足でした。とりあえず、「天の香具山」でお馴染みの香具山が、奈良時代の日本において「世界の中心」だった、ということだけは解った。もっと勉強しよう。2015/07/29
みかん。
2
古代に遡るわけだが、厳しい時代ゆえに本書は読書がもつ喜びを味わう一冊となった。今ここから一度離れることが喜びを与えるのであろう。2021/02/17