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内容説明
人と「しきり」の関係に迫る刺激的論考! 自己と他者・ウチと外・聖と俗・日常と非日常・私と公。いずれも「しきられた」両方の世界を表す言葉である。「しきり」をキーワードに文化・社会を読み解く。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
233
人間はしきりをどう意識して来たのか?そしてネット社会になっている中、どう変わっていってるかがよくわかる。こういう問題意識を普段持たないので興味深く読めた。やはり間取りから考え方が分かるなぁ。2020/05/19
mura_ユル活動
127
学生の頃に読んでいた柏木さん。かなり久しぶりに拝読。しきりの概念から自己と非自己のしきり、自己と他者、人間関係。集団と個。西洋と日本の建築のしきりとその対比。デ・ステイルから日本の住宅へのデザインの変遷。日本の緩やかなしきり、障子・御簾・襖・衝立・格子戸・屏風。縁側など住まいに自然環境に対峙せず、受け入れていることが、しきりの仕方に大きく影響を与えた。履物を脱ぐ玄関は日本独特のしきり。「畳の上で死ぬ」ことは三途の川を裸足で渡るため(履物を御棺に入れますが)。2004年の著。続く→2021/02/07
アナクマ
25
(p.79)「世間」や「そと」に対して「わたし」がある。「わたし」は「うち」になるのだが、この「うち」は「わたし」よりも拡大する。「家庭」であったり「わたし」が属する特定の集団である。つまり「うち」の範囲は状況によって変化する。内側の世界は、しきりかたによって自在に変化するのである。ちょうど「屏風」のように、しきりの場所を移動することが可能なのだ。2017/10/09
take
5
物理的なしきりの話だけでなく、心理的、象徴的なしきりの話も多く、面白かった。第三章で「境界を越える時、人は靴を脱ぐ」という話があったが、飛び降り自殺の時(=生死の境界を越える時)、靴を脱いで揃えるというのもそういうことなのかな...。2019/02/06
編集兼発行人
4
境界を構築することの意味を巡る考察。都市や国家の成立に伏流する速度。自己と他者とが同化せず鬩ぎ合うことでしか成立しない対話。親密逃走攻撃の間合いを決定する社会的な距離感。ホームパーティから垣間見える家庭地域間の鉄条網。衝立や段差により薄らと張り巡らす文化的な壁。名指しにより初めて発生する私物。共有の感覚に先行する信仰。対象そのものと取巻く環境とへの様々な眼差しを織り成す行為としてのデザイン。時間における切れ目の消失が齎す富の集中。等々を通じて物理的もしくは心理的な「接続と断絶との調整弁」の存在を捉え直す。2013/08/04