コレラを防いだ男 関寛斎

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コレラを防いだ男 関寛斎

  • 著者名:柳原三佳【著】
  • 価格 ¥1,265(本体¥1,150)
  • 講談社(2022/11発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065293409

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内容説明

【小学上級から】
世界中に広まった新型コロナウイルスの感染。それより百五十年以上も前の日本をおそったパンデミックに、敢然と立ち向かった一人の医師がいました。その名は、関寛斎(せき・かんさい)といいます。
江戸の末期、幕末の時代、鎖国していた日本に西洋の医学はほとんど広まっておらず、病がはやると、人々はまじないや祈祷をすることで難を逃れようとするありさまでした。
農家の長男に生まれ、チャンスを得て蘭学を学べる私塾「順天堂」に入り、苦学の末に医師となった関寛斎は、「まだ病にかかったわけでもないのに……」といぶかしがる人々に対し、天然痘のワクチンを接種するなど、現代の医学と同じ「予防」という観点から医療行為をほどこしました。
その寛斎が、とんでもない早さで伝染する流行り病が発生したことを耳にします。コレラです。「かかれば三日で死んでしまう」ことから「三日コロリ」と呼ばれたおそろしい病が、アメリカ艦隊が上陸した長崎から大阪、そして江戸へと感染者を拡大し、大勢の命を奪っているというのです。
コレラが「江戸の台所」と呼ばれた当時の大都市・銚子に入りこめば、死者の数が増えるばかりでなく、日本の経済にとっても大打撃となり、復興どころではなくなります。
関寛斎は、どのような方法でコレラに立ち向かったのでしょうか?
百五十年以上も昔なのに、現在、新型コロナウイルスの感染を防ぐために当たり前となった「ソーシャル・ディスタンス」の徹底をしていたことにも驚かされるばかりですが、寛斎の生きざまから伝わってくるのは、人の命を助けるという医師の仕事の重さです。
知られざる幕末の偉人、関寛斎について、物語のかたちで、すいすい読んでみませんか。
関寛斎が生きた時代に何が起きたのか、巻末に年表をつけました。幕末から明治の初めにかけての歴史も学べてしまう一冊です。

目次

はじめに
第一章  佐倉順天堂
運びこまれた元力士/これこそが、西洋医学なのだ……
第二章  種痘を広める
西洋医学を志す若者が目指す場所/農家に生まれ、学問に目覚めて/恐ろしい痘そう/痘そうから子どもたちを守るために/種痘をうつと牛になる?/治療や手術にかかる料金
第三章  銚子での開院
乳がんの手術を決意した母親/銚子の町を治めていた男/コロリが来た!/もはや無視できなくなった西洋医学/江戸の種痘所に呼ばれた寛斎/変わり果てた江戸の町/コレラと戦うための作戦
第四章  コレラから銚子の町を守れ
救えなかった目の前の命/迷信が原因で発生した食中毒/「コレラ予防対策八か条」/「ないないづくし」の歌と幕府の御触書/寛斎が守り切った銚子の町/コレラ菌発見の二十五年前に日本を救った男
第五章  戊辰戦争――戦火の中の出張病院
ポンペ医師から学んだ寛斎の思い/腸チフスの感染拡大を抑える/「けが人に敵も味方もあるか!」
おわりに
関寛斎の年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まる子

26
JIN(仁)先生は実在した‼️と思わせる関寛斎。「幕末」「コレラ」(当時はコロリ)「医師」このワードだけで読む気をそそる、関寛斎の伝記。ロベルト・コッホがコレラ菌を発見したのが明治15年あたり。江戸で「三日で死ぬ」と言われ、高熱、嘔吐、米とぎ汁のような白い下痢。どのような治療すればいいか、(煮沸しない)水を飲む事や魚を食べると良くないという噂を解決。ソーシャルディスタンスと消毒で蔓延をふせぎ、自分たち医療者がかからないようにするには。多くの命を救ったのに…晩年は北海道の陸別で開拓し、札幌で自死😱2022/12/08

わむう

22
高田郁さんの「あい」で、妻の視点からの関寛斎の人生について書かれた小説を読んだことがありますが、こちらは関寛斎自身の視点で書かれた本。児童書なので、医療に関する専門用語も、江戸の歴史的背景もわかりやすく説明しています。神輿を出したり、病人の枕元に供えた赤飯を食べたら流行り病が治まなどの迷信やおまじないを信じていた庶民に正しい感染予防法や医療をほどこします。港に停泊している外国船からウイルス感染と江戸時代にも同じことが起こっていたんだと知りました。2023/10/31

ぽけっとももんが

9
図書館新着本。コロナ禍の今、身に染みる。コレラ菌が発見される前に、手洗いや生水・生物を摂らない、感染者のものは熱湯消毒などで感染を防いだ。結局「一に養生、二に鍛錬、三に薬」であるとも。またいつの世にも迷信に振り回される人がいる。関寛斎の若くしての活躍で終わっているけれども、この後も偉業は続く。そして稲むらの火で有名な濱口儀兵衛も登場、やっぱりすごい人はたくさんすごい。装丁と挿画が題材だけに悲惨になりそうなところを誤魔化さずでも品のある本にしてくれたと思う。2023/03/05

かわかみ

6
佐倉順天堂で西洋医学を学んだ関寛斎が幕末に流行したコレラの感染拡大を防いだ奮闘を子供向けにわかりやすく描いた本。子供向けとは言え、大人が読んでも有益である。ロベルト・コッホによってコレラの病原体が発見されたのは明治16年のことだから、寛斎たちはまだ原因を特定できない状況であった。しかし、キニーネの服用と身体を温める治療法および滋養強壮と清潔な生活習慣による予防法を普及することで江戸の台所であった銚子を守った。寛斎を中心に先達の医師である佐藤泰然、篤志家である濱口儀兵衛らの高い志を示している。2023/09/13

たつや

5
図書館の児童書コーナーにて、タイトル借り。結果は大当たり。幕末に実在した関寛斎という若き医師の物語は蘭学や順天堂等のその時代背景も合わさり、ドラマティックに面白く読めました。隠れた偉人はまだまだ大勢いるんでしょうね。2023/12/06

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