ちくま学芸文庫<br> ラカン入門

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ちくま学芸文庫
ラカン入門

  • 著者名:向井雅明【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2016/06発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480096760

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内容説明

ラカンを理解する最短ルートは、その理論を歴史的に辿ることだ──。鏡像段階、対象α、想像界・象徴界・現実界など多種多様な概念を駆使し、壮大な理論を構築したラカン。その理論は、精神分析のあり方を劇的に刷新し、人文・社会科学全般に大きな影響を与えた。本書では、その難解な思想を前期・中期・後期に腑分けし、関心の移り変わりや認識の深化に注目しながら、各時期の理論を丹念に比較・検討していく。なぜラカンはこれほどに多彩な概念を創造し、理論的変遷を繰り返したのか。彼が一貫して問い続けてきたこととは何だったのか。その謎に挑んだ好著、『ラカン対ラカン』増補改訂版。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

25
人生論として読んだ……というとあまりにも頓珍漢だろうか。だが、ラカン/ラカニアンが書いたものを読むと癒されるように感じられる。主体となるこの私の万能感は否定されて、ワケの分からない「他者」からの指示に従って生きるしかない、そしてそれを解決出来る「分析家」は居ない(関係を通してのみ、終わりなき分析に道のりはつけられる)という……なかなか平易で興味深い「入門」書だと思った。私自身「メンヘラ」だからなのか本書から「諦める」ことの重要性を学んだと思う。病を否定するのではなく受け容れる……やはり邪道な読み方だろうか2017/09/18

またの名

19
【悲報】本書がある所で言い訳ギャグ「ラカンはわからん」はもう使えない。文庫本化までの数十年間に本書を凌ぐ邦語入門書が出なかったとさえ言える明晰さで、言語化してもしきれないと感じる理論の全貌を愚直なほど丁寧に解説。欲望のグラフ等をじっくり順を追って読み込むだけでなく、それら数々の図式やマテームや概念が説明されるたびに取りこぼされたように思われる残余を執拗に追い詰めるかのように何度も違う角度から言語化する手腕は、これぞ自家薬篭中。一度もラカン派だったことがないまま啓蒙に勤しむ人と違って著者が実際に精神分析家。2017/01/21

なっぢ@断捨離実行中

13
どうして今までこんな良質な入門書が30年近く埋もれていたんだろう?ラカンをファッショナブルに使いたい人はジジェクや斎藤環で間に合うが、分かりやすすぎて逆にわかりにくかった人やもっと本腰を入れて勉強したい人はこちらがよろしいかと。前期から後期にかけて順立てに論じていく構成は『人はみな妄想する』とほぼ同じ。当然のごとく数式が頻出するので、「ソーカル……」と呟き中断することもしばしば。他のフランス現代思想勢と比べると格段に難しいと実感した次第だが、ラカンはわからんと言わせないだけのリーダビリティは備わっている。2017/04/05

Z

9
充足した状態から、苦痛な状態に置かれることを指すが、ラカンは本来苦痛な状態を鏡の像の中に疎外するという、疎外の意味を価値転倒させて使っている。ラカンはアメリカの自我心理学(自我を強化することを目的とするらしい)に対抗心をもっており、自我に至上の価値をおかない。象徴界の説明は、正直もっとしてほしかった(といってもラカンについて書かれたなん十冊の本ラングの『言葉と無意識』を除いて十分な説明を読んだことはないが)。ラカンは想像界の他に象徴界、現実界なる用語を用いて人間の心の構造を考察した。現実界は政治アンケート2018/09/24

mstr_kk

9
後期ラカンは、自分のそれまでの理論の否定性を否定し、現実界自体を扱えるようになろうと、言語的ではない無意識を考えた。それがフロイトのエスに当たる。……僕の長年の疑問に、超明快に答えてもらえました。「ラカンは否定神学の権化」という思い込みを覆されたのと、フロイトの第一局所論と第二局所論の統合によって「言語のように構造化された無意識」と「エス的な現実的無意識」の区別が生じると説明されたところは、この上なくスッキリしました。ほかのさまざまな概念も、丁寧に扱われています。たいへんな良書ですが、にしても難しい!2016/10/30

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