内容説明
少子化に歯止めがかからず、経済的な格差も拡大の一途。教育費の負担が家計を圧迫する一方で、学校の教育力低下が問題に。このまま日本は衰退の道をたどってしまうのか? 著者は、9歳のとき突然父親を交通事故で亡くし、貧しい生活を強いられるが、高校も大学も奨学金のおかげで進学できた経験を持つ。だからこそ、貧困がゆえにこれからの時代を生き抜くために必要な能力を修得するチャンスが閉ざされるような国にしてはならないという強い思いを持っている。では、どうしたらよいのか。教育は主に家計が負担するという自助努力の考え方から、教育に公財政を支出して、国家として未来を支える人材を育てる方向に変えるべきだと著者は主張する。財源の使い道は、教育再生、グローバル人財育成、スポーツ・文化・科学技術と多岐にわたり、教育費の軽減は最大の少子化対策であり、社会保障にもなるという前文部科学大臣の渾身作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MOKIZAN
13
たいへん心強い一冊でした。現在、今後の国の大きな懸案事項である教育、家庭の貧富による受けられる教育の格差。学ぶことではなく、入学することが目的と化している進学事情。学生本人の目的も持った生き方への意欲不足等について、現状収集に努め、改革案を持たれているようだ。文科大臣としてまさに適任者のお一人ですね。(なんで元プロレスラーになっちゃんたろう、まあ現役時代は好きだったから良しとしよう。)第二章の各データーはかなり関心持てます、呆れかえる情報もあったし。政治屋さんたち、「子供は国家の宝」ですよね?2016/05/05
isao_key
9
日本を教育によって変えるという強い意志が伝わる内容。下村前大臣については、父親を子どもの頃亡くし母親が一人で働き、苦学をして早稲田を出た程度しか知らなかったが、本書を読み常識と知見を兼ね備えた、バランス感覚のある人だと分かった。わたし自身が日本の教育について考えている以上のことを考え、任期中にすでにいくつも実行されていたのを知る。自分の体験や感覚で語るのではなく、エビデンスを示し世界基準と比べ日本の教育の置かれた位置を説明しているので説得力がある。第5章に教育の重要性を語っているが、本心から同意できる。2017/04/21
でら
7
偏差値で言うとそんなに高くない大学ですが、好きなことに熱中できる人達の集まりなので私はこの大学が好きです。ですがそれは裏返すと好きではないことにはとことん興味ないってということで、授業などでも発言者が少ないと言うのは考えものです笑 皆空気を読んでしまって自分の意見を言えないのはとても勿体ないと思っています。アクティブラーニングはたまにあるのですが、面白いのでもっといろんな所で取り入れて欲しい。2021/04/19
Shirley
2
22冊目 日本の教育の現状と予測される未来を知ることができました。今後は、いままでよりも主体的に考え課題を発見できる能力(AIにはできない業務)をいかに伸ばすかが重要なのですね。最近の就職、転職で求められる能力と同じであることに今更ながら気づきました。2016/05/05
そうた
1
行動し、失敗し、学びに変え、行動を変容していく。そのサイクルを創るためには、学校教育を見直す必要があり、問題解決学習についてもっと突き詰める必要がある。2016/10/07