内容説明
ギリシア・ローマ古典学の教授宮沢明は数年前に交通事故で妻を失っているが、避暑地で会った知的な和泉聡子に強くひかれ、二人は美しく愛しあっている。そして、現役を退いた老カップルやユニークな学生ペアのそれぞれの愛のかたち……。21世紀に入って10年がすぎた夏の日の避暑地=半島の海辺にある別荘に集う数組の男女の、優雅な〈饗宴=シュンポシオン〉と〈愛=エロス〉の時間を描く長編恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あ げ こ
8
入り込む余地もない。この上なく豊かで、優麗な饗宴。沈み行く側に属するが故に、此方はただ覗き見るほかない。彼等は下界に満ち行く不穏さえ、饗宴をより典雅なものへと高める蜜に変え。鮮やかに浮かぶ滅びさえ、壮麗さを損なわずに巡らせ。興ずる。 何一つ醜態を見せることなく多くを越えた先、豊かさの内に在るものたちの、底知れぬ悠久を思わせる穏やかさ。下界に息づくいくつもの滞りとは無縁の。毒は猥雑な色合いを持たぬために、甘く、恐ろしいほどに悠然と満ち、それぞれが耽る交歓と、饗宴が奏でる豊艶なそれの、澱みのなさを知らしめる。2015/07/06
あこ
5
電子書籍。偏見持っていたが意外と読みやすく。それでもやはり紙で読みたい。2016/06/29
調“本”薬局問悶堂
1
裏表紙のあらすじはこれでいいの? 倉橋由美子の長編。こんな書き方もするんだ。『城の中の城』と絡んできた。引きずってるわけでもなく、かといって戻らせようとするでもない。本当に同じ時間の軸の上に存在しているのかも確信はない。 それでいい。 だからシリーズ物とは違う。 本当に血に合ってる気がする。 それにしても、あの団体(?)名が出てきたのには驚いた。意外とメジャーなのかな? 《2020年6月 登録》2009/01/19
ちょろいも
1
うーんちょっと冗長だったかな。桂子さんの印象が薄いのが敗因か。2009/07/24
直
1
「前世紀」は言わないな。2009/07/17