善意で貧困はなくせるのか?――貧乏人の行動経済学

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善意で貧困はなくせるのか?――貧乏人の行動経済学

  • ISBN:9784622077268
  • NDC分類:333.8

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内容説明

“社会実験”+“行動経済学”が世界を救う。イェール大学教授と現場のリサーチャーが最前線のフィールド研究から教えてくれる貧困削減のためのアイデアが満載。

目次

目次

第1章 はじめに―僧侶と魚
第2章 貧困と闘う―何をどうするのか
第3章 買う―セーフティネットがある世帯を倍に増やす
第4章 お金を借りる―タクシーの運転手はどうしてローンを借りなかったか
第5章 幸せを求める―もっと楽しいことがある
第6章 力を合わせる―集団の欠点はどうする?
第7章 貯める―楽しくない選択肢
第8章 耕す―ゼロから何かを作りだす
第9章 学ぶ―大事なのは学校に来させること
第10章 健康を保つ―足の骨折から寄生虫まで
第11章 男と女のこと―裸の真実
第12章 寄付をする―結論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えちぜんや よーた

82
【問題】途上国における子どもたちに対して、学校への出席率を向上させるために、最も費用対効果が高かったプログラムは次の3つのうちどれでしょうか?→1.制服支給プログラム 2.出席報酬プログラム(現金支給プログラム)3. 駆虫剤支給プログラム (答え:3 子どもの体内の寄生虫がいなくなると倦怠感がなくなり、学校に出席しだす。錠剤1個あたり20セントのコスト。4か月間効く)貧困国への融資や信用貸し付けなど援助プログラムの実効性を評価するのが、本書のテーマです。2013/08/12

Kawai Hideki

68
開発援助の分野に行動経済学を持ち込んで、善意で設計された開発援助プログラムよりも効率の良い方法を見つけ出すお話。例えば、グラミン銀行などが実施しているマイクロクレジットは、実は、女性よりも男性に投資した方が投資効率が良かったり、個人事業の支援でなく貯蓄の支援の方が救われる家庭が増えること、また、学校の生徒の出席率を向上させるには、出席に対するインセンティブをお金で払うよりも、害虫駆除の錠剤を無料で配った方が費用対効果が大きい、などのことが次々と明らかになる。コンセプト主導よりもマーケティングが大事。2014/05/10

マガリ

25
貧困とは、選択と機会の否定、人間の尊厳の侵害。善意だけの支援では、貧困はなくならない。問題を理解し、厳密な評価をする必要がある。人間は不合理な生き物だからだ。選択肢を増やすと顧客は遠ざかる。有償よりも無償の方が多くの人に行き渡る(活用するかは別)。情報不足の解消と大量の間違った情報の撲滅も重要である。タイミングの影響も侮れない。心を動かされたとき、人は行動する。お金と教育だけでは解決しない。支援する側、支援される側の『つながり』の強化が鍵となるのかもしれない。★★★★☆2013年1月刊行2014/08/04

壱萬弐仟縁

11
本書も簡素な表紙デザインが白熱教室的に似ている。30億人が2.5ドルで暮らす世界(13頁)。MITに貧困アクション研究所を立ち上げた(2003年、36頁~)。できるだけ具体例を引いて机上の空論にならぬよう、簡明な説明を心がけている本だとわかる。タクシー運転手の行動を観察すると、時間配分の理論と違うと説明(106頁)。「寄付した1ドルにつき、どれくらい良い効果があるか」(299頁)。評者も4年前から歳末に1千円なけなしの金をUNHCRに寄付している。これでも地球市民の自覚をもてるので。社会実験的開発経済学。2013/04/30

Yohei

8
★★★★☆貧困を救うための寄付や支援活動に参加するだけで満足していませんか?アウトプットから対費用効果を検証することにより、せっかくの善意をよりよい活動につなげることを薦めた本。過去ブームとなった行動経済学で非合理な人間の行動を面白く紹介するだけでなく、非合理だからこそ、適切な仕組み作りとその評価方法の設定に応用しようとする著者の活動は評価できる。2014/08/02

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