内容説明
がん患者が次々入っては、笑顔で出てくる外来がある――その名は「がん哲学外来」。治療の不安から人間関係の悩みまで、主治医には打ち明けづらいあらゆる相談に著者は答え続けてきた。「自分を心配するのは一日一時間でいい」「冷たい医師にもいい医師がいる」「がん細胞は不良息子と同じ」「何を望むか、よりも何を残すかが大切」……貴重な個人面談録をもとに綴る、患者と家族の心に効く「ことばの処方箋」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
36
もう三年治療と向き合う父との会話を妻に話したところ、すでに両親共にがんで見送っている彼女から薦められた本。ぱっと開いて出会った、若い患者さんの言葉に「黙ってお茶を飲むしかない、だから私の対話にはお茶が必要」というくだりに心をつかまれる。がんを考えることを人生の優先順位一位にしない、ああ、そうだ。◇がんは症状も経過もひとりひとり異なる。だから、向き合い方も受け止め方も正解はなく、個々が納得感をつくり上げていかなければならない…いまのキャリアそのものじゃないか、◇あとがきが同志を求める言葉なのも印象的だった。2018/11/03
アオイトリ
31
樋野先生、連読)(がんに)囚われずに生きればよい。それはこの病に限らず、誰にも通用する大事なことです。がんより実は人間関係(家族)が悩ましいとは、切実でリアルでした。追いつめられると自分の心の中の重みづけができなくなる。自分を心配するのは1日1時間でいい。樋野先生との対話から、関心が外へ向いたとき、自分の本来の役割に気づくと生きやすくなる。がん(=我が家の不良息子)は見ず知らずの他人ではなく、DNAに変異こそあるものの、全体で診ればほぼその人自身の細胞、という見方に納得しました。2022/08/29
kanki
25
自分の心配は1日1時間だけにして、自分の役割を探す。自分で決めて、覚悟をもつ。2023/10/12
yuko
17
がんを患っている人の気持ちを知りたくて。「自分のことを心配するのは一日一時間でいい」「がんより悩ましい人間関係。」がんでなくても通用する言葉がいっぱいあって役立ちそうです。2018/04/26
うさこ
13
一度病を得て、体調を崩してからというもの、人生の主役を病気に奪われてしまったような気持ちをずっと抱いていました。不本意ながら、主導権をなかなか握り返せずにいます。病との向き合い方を、これからの生き方を学ばせてもらった本でした。悩み苦しむ時にこそ、人生の目的は品性を完成させること、という言葉を思い出そうと思います。「人生いばらの道、されど宴会」「苦しい時ほど、自分の役割を見つけてみませんか」「明日死ぬとしても、今日花に水をやる」2021/03/01