内容説明
激動の幕末。江戸で暮らす会津藩士の山浦鉄四郎は、質実剛健な会津士魂に馴染めず、天下国家を論じることもなく、ただ平穏な人生を望んでいた。そんなある日、家中の美しき薙刀の達人・中野竹子と出会う。互いを思いながらも、新撰組隊士となった鉄四郎は内乱の渦に呑まれていく。友が死に、自身が傷を負っても刀を振るうのは、竹子の元に生きて帰るため――。魂を震わす歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
146
会津藩士の山浦鉄四郎は江戸に遊学するも己れの道を見つけられず。会津藩士の娘・中野竹子や、試衛館との出会いが鉄四郎を変える。京都守護職を引き受けた会津藩は上洛。鉄四郎も上洛し、藩命で試衛館を母体とする新撰組へ加入する。攘夷か開国か、時代が人々を翻弄する。孝明天皇の突然の崩御により時代は薩長へ味方し、旧幕府勢力は追い詰められる。郷土の為、愛する人々の為に鉄四郎や竹子は戦う。会津藩に対する明治新政府の復讐。時代の流れは平穏な生活を送る人々を容赦なく巻き込む。そこに立ち向かい生き抜く事の大切さを教えてくれる名作。2016/01/10
優希
50
読んでいて震えずにはいられませんでした。会津藩士ながらも会津の心意気に馴染めず、天下国家を論じず、平穏な日々を過ごしていた鉄四郎。そんな中で出会った中野竹子と互いに思い合いながら新選組に内隊し、刀を振るう日々。全ては武子のためだったように思えます。1人の女性を懸命に愛する姿に魂が震えました。2021/10/26
Die-Go
45
図書館本。会津藩士山岡鉄四郎と会津の娘子隊士中野竹子を主軸において、戊辰戦争を描く。最初は軽い乗りで書かれていてなんだかなぁと思いながら読んでいたが、途中からの急な舵取りが一気に作品を重いものに変えていく。★★★☆☆2020/11/30
えみ
43
愛は誠と会津と共に燃ゆ。戦は景色を変え、歴史を変え、人を変える。何十年何百年、たったひとつ戦でも変えられないものは「護りたい」という想いだけかもしれない。幕末戊辰、会津藩士で新選組隊士でもある山浦鉄四郎と、彼が愛した薙刀の達人・中野竹子の物語が終わろうとしている。「美しい」が「正しい」とは限らない。「勝者」が「正しい」とも限らない。それでもこの戦の中で「正しい」があるとすれば、それは「生存」のみである。正しいことを行うために人はいったい幾つ間違いを重ねていくのだろうか。歴史に残る事実が見せた愛の残滓に涙。2025/05/25
り こ む ん
31
時世が人を変えてゆく。望洋とした主人公が、幕末の時代の激変を迎え変貌してゆく。戸惑いが消え、だんだんと心が冷たく強くなっていく。それは、人の強さでなく、獣の強さ。どの戦(戦争)モノでもそこは変わらない。そうなってしまう。ならなければ…正気ではいられない世界なのだろう。頭は思考し続ける。でも、そこには心は無い。では、なぜ戦うのか?人としての一筋の光を守るため。人に戻る為の光を見失わない為、人は戦う。愛する人、家族、国。この作品は、戊辰を通してそんなことを教えてくれる。2016/11/13
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