新潮文庫<br> 沈黙の春

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新潮文庫
沈黙の春

  • ISBN:9784102074015

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内容説明

自然を忘れた現代人に魂のふるさとを思い起こさせる美しい声と、自然を破壊し人体を蝕む化学薬品の浸透、循環、蓄積を追究する冷徹な眼、そして、いま私たちは何をなすべきかを訴えるたくましい実行力。三つを備えた、自然保護と化学物質公害追及の先駆的な本がこれだ。ドイツ、アメリカなど多くの国の人々はこの声に耳を傾け、現実を変革してきた。日本人は何をしてきたか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

475
あまりにも有名な環境問題の古典的名著。これが書かれたのは、もう50年以上も前なのだが、まったく古びることがない。使われている薬剤こそ違え、今も「沈黙の春」の危機が厳然とあるからだ。DDTから始まった害虫駆除の薬剤が、メトキシクロール、クロールデン、ヘプタクロールと、どんどんと強力なものにエスカレートしてゆく。なぜなら、昆虫に耐性ができてゆくからだ。そして、この終わりなき戦いの行き着く果てが「沈黙の春」なのだ。カーソンの、害虫を殺すことは生態系そのものを圧殺することだ、との警鐘は今も鳴り響き続けている。2015/04/02

ehirano1

212
冒頭からSFホラーかと思うくらい背筋を凍らせるライティングは圧巻。一方で、「生物濃縮」という概念を世に広めるきっかけになったという意味では大変優れた役割を果たしたのですが、化学物質使用を発狂的に取り締まったことで生じた伝染病拡大による悲劇を生じてしまったことも事実。その意味で、世界に影響を与えたことは間違いないと思いました。2023/09/09

Gotoran

152
約半世紀前、米国の生物学者(著者)が、世界の協力者から提供された研究・調査資料を克明に調べ上げ、自身の広い知見と洞察を加え、自然生態系への農薬(化学物質)汚染の実態を世に知らしめた先駆書。農薬の大量撒布で春になっても鳥の囀りが聴かれず、人体も侵されていく有様を17章に亘って、詳細かつ強力に諄いぐらいに、繰り返し訴え、人類存続のための警鐘を鳴らしている。自然、生き物をこよなく愛するが故の著者の強い思いが伝わってきた。豊かさ追求からくる人間のエゴの払拭、自然、生き物に対する畏敬の念について思いを馳せた。2011/12/15

HIRO1970

150
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️本年15冊目。実家の父のオススメで借りてきました。題名は知っていましたが、ずっと放射能の話だと思い込んでいて未読でした。読んでみて昔読んだ有吉佐和子さんの複合汚染を思い出しましたが、本書は更に17年も前の62年に書かれていた事を知ってかなり衝撃を受けました。インターネットが無い時代にどうやって状況証拠と因果関係を紐解く事が出来たのか、たゆまぬ努力と深い洞察力、又未来を予見し喝破する見識に瞠目しました。終盤に解決策の提案があり大分救われました。一度は手に取るべき先達の警告だと思います。2020/04/08

kaizen@名古屋de朝活読書会

148
Dichloro diphenyl trichloroethane(DDT:ジクロロジフェニルトリクロロエタン)日本でも大量にまき散らされた薬品。アメリカからの警告。注をつけずに参考文献をつけたという。できれば、注は注でつけて欲しかった。注を読むのが面倒な人は読まないから。図書館で文学の棚になかった。2013/05/05

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