内容説明
吟遊詩人デデ・コルクトが狂言回しとなって語られるトルコ系オグズ族の英雄物語集。アナトリア東部(トルコ、イラン、アゼルバイジャンにまたがる地域)の口承伝承が凝縮された稀有の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
32
セルジューク朝などを建てたオグズ族の英雄譚。オザン(吟遊詩人)が語り継いできた英雄物語を元としていて、中央アジアの草原の雰囲気に浸れます。何より虜囚となって16年後に劇的な帰還を果たすベイレキの、捕らわれた息子を奪還するために駆けるカザンと、その夫カザンを追って馬を走らせ夫を励ますボルラ・ハトゥンの、猛り立つ獅子や牡牛、牡駱駝を倒して王女に求婚するカン・トゥラルの、虜囚となった父親のために兵を挙げるイェゲネキの、名誉と血を重んじる高貴で勇壮な生き方に接して、どうして彼らに魅了されずにいられるでしょうか。2017/01/30
秋良
15
東部アナトリアをメインに、中央アジアからトルコにかけて遊牧生活をしていたオグズ族に伝わる英雄譚。イスラム化していく中にイスラム以前の民話が混ざり、有名な千夜一夜物語とはまた違った味わい。オグズ族はテュルク系なので地名や人名が今のトルコ語に近く、懐かしい響きでもあった。名誉を重んじる遊牧民の生き方は日本の民話より荒々しくて新鮮。そういえばデデ・コルクトが持ってるコプズみたいな楽器、ウズベキスタンで見たなあ!2025/04/27
きゅー
15
アナトリア東部(トルコ、イラン、アゼルバイジャン)のオグズ族の英雄たちにまつわる物語集。先日読んだカマル・アブドゥッラ『欠落ある写本』は本書の内容を換骨奪胎しており、せっかくなので本書も読んでみた。12篇の物語が収録されているが、内容は幾つかのモチーフが再使用されている。一番多いのは異教徒に父(兄、息子)が捕らえられるのだが、それを父(弟、息子)が助けに行くという物語だろうか。敵に敗けそうになると、彼らはアッラーに祈りを捧げる。すると超人的なパワーが与えられて勝利するという構図は、ある種の様式美だ。2018/02/01
秋良
11
欠落ある写本を読んで、もう一度読み返したくなったので。初読では記号めいていたカザンやボルラ・ハトゥンが肉体を得たような、詠んだ言葉の裏側の感情を知りたいような気持ちになる。わりといつも余裕綽々のデデ・コルクトが「あいつを求婚者殺しのところへ交渉に行かせよう」と決まった時だけやたら焦るのが笑える。お前も人間だったんだな……。現実でも欠落部分が見つかって、オグズの内紛の詳細とか分かったらいいのに。今後の研究に期待。2025/06/24
ヴィオラ
10
「欠落ある写本: デデ・コルクトの失われた書」予習のため。こういう機会でもなければ読まなかったかも。こういう出会いは嬉しいものです。中央アジア~トルコに暮らしていたオグズ族の口承伝承をまとめた書。物語の最後にちょこっと出てきて、したり顔のデデ・コルクトに毎回笑うw2017/11/07
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