内容説明
幸せな交際を経て結婚した宗一と瞳。だが入籍当日、宗一は事故により急逝し、瞳を見守るだけの幽霊のような存在となってしまう。瞳が再び幸せ掴むことをひたすら願う宗一だが、瞳は亡き宗一を変わらずに想い続ける。「生前にプレゼントしたものにだけ触れることができる」という事実に気づいた宗一は、それを使って自分の願いを伝えるべく苦心する。交錯する二人の想いの行方は果たして――?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりも
63
入籍当日に不慮の事故により急逝した宗一と、残された瞳。幽霊となり見守ることしかできなくなった宗一が、瞳の幸せを願い行動する物語。自分が幸せにしたかった女性を見守ることしか出来なくなった宗一と、亡き最愛の男性である宗一を想いつづける瞳。死んでも尚相手の事を想いつづける二人の姿はとても切なくて、想いが交錯する事で迎えた結末には思わず涙ぐんでしまいました。大きな悲しみを乗り越えて、新たな幸せの為に歩き出した瞳には幸せになって貰いたい。切なく美しい二人の愛の深さを感じさせる恋物語でした。2016/04/24
よっち
50
三年にわたる幸せな交際を経て結婚した宗一と瞳。しかし入籍当日に宗一は不幸な事故で死んでしまい、瞳を見守るだけの幽霊のような存在となってしまう物語。自らは彼女を幸せにすることができなくなり、瞳が再び幸せ掴むことをひたすら願う宗一。とはいえ瞳が他の男の人と幸せになっても、一人で生きていくことを選んでも複雑な気持ちになってしまうに違いない状況で、亡き宗一を変わらずに想い続けると決意する瞳の想いもまた切なくて、だからこそ瞳を見守り続けてきた宗一が、彼女のために決断して行動する展開にはついホロリとしてしまいました。2016/04/24
はな
47
読了した後でタイトルを見ただけでもじわーっと来ます。入籍当日に事故で死んだ主人公とこの世に残された瞳。主人公の瞳の幸せを願う気持ちの空回りからくる誤解で、瞳は過去を引きずっている。また、家族も息子の兄の死に傷ついている姿がリアルだなと思いました。ひたむきに幸せを願う主人公の姿に愛を感じました。瞳が幸せになってほしい。2016/05/12
佐島楓
45
ちょっと心の機微の部分で「?」な部分があった。その人の心はその人のもの。干渉しないほうがいいのでは、と思う気持ちとわからなくもないなぁ、という同情の両方を感じた。2016/07/08
愛緒
45
入籍当日に不慮の事故により亡くなってしまう宗一。宗一は幽霊のような存在になって妻の瞳の傍にいるようになった。瞳は宗一を変わらずに想い続けるのだが、宗一は瞳に幸せになって欲しかった。「生前にプレゼントした物にだけ触れることができる」と気付いた宗一は瞳に『幸せになって欲しい』という願いを伝えるため、苦心する。この小説を読んで、亡くなってしまった大切な人と会いたくなった。一言でもいい、言葉を交わしたくなった。死しても互いを愛し続ける瞳と宗一の姿にただ純粋に泣けて、そして胸が苦しくなった。2016/05/19